米裁判所、内部告発サイト「Wikileaks」のドメイン使用禁止命令を撤回
「言論の自由」を侵害するという主張を受け入れ、米連邦地裁は、一度出したWikileaks.orgに対するドメイン使用禁止命令を撤回した。
米連邦地方裁判所北カリフォルニア支部の判事は2月29日、先に出した内部告発サイト「Wikileaks.org」のドメイン使用禁止命令を撤回した。同サイトを支援する電子フロンティア財団(EFF)が報告した。
Wikileaksは、企業や政府の不正を告発する内部文書を掲載するサイト。これまでに中国の人権侵害や、ケニヤの政治腐敗を告発する文書が掲載されたほか、グアンタナモ米軍基地の刑務所に関する文書をリークしたことで知られる。
今回のドメイン使用禁止命令を巡る裁判は、2月初め、スイスの銀行Julius Baerが、WikileaksとWikileaksのドメイン名を登録している米国のホスティング企業Dynadotを相手取り、同銀行の顧客の個人取り引きに関する情報を無断で掲載したとして提訴した件に端を発する。問題となったのは、同銀行のケイマン諸島支店がマネーロンダリングや脱税に関与していることを示唆する文書を、元従業員が漏えいしたことだった。
Dynadotは、提訴を取り下げることを条件に、サイトの閉鎖を約束する取り引きをJulius Baerと締結。これを受けて米連邦地裁は2月15日、Wikileaks.orgのドメイン使用禁止を命じた。
この判決に対し、EFF、アメリカ自由人権協会(ACLU)、政府監視プロジェクト(POGO)などの人権擁護団体が、サイトに掲載された情報に関心を持つインターネットユーザーの、米国憲法修正第1項が保証する言論の自由を侵害すると主張、撤回を求めていた。
米連邦地裁のジェフェリー・ホワイト判事は、ドメイン使用禁止命令を撤回、一端閉鎖されていたサイトの復活を許可した。
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