PC用地デジチューナー単体販売 方針転換の背景は
PC用地デジチューナーの単体販売が解禁になった。これまで番組の不正コピーの温床となる懸念が指摘されていたが、地デジ受信ができるテレビやレコーダーの世帯普及率が約4割にとどまるなか、受信端末の多様化が不可欠と判断した。
放送業界と家電メーカーで組織するデジタル放送推進協会(Dpa)は、パソコン(PC)で地上デジタル放送を視聴・録画するための後付けチューナー(受信機)の開発を容認する方針を決定した。これにより、地デジに未対応の市販PCや自作PCでも地デジが視聴・録画できるようになる。外部チューナーは番組の不正コピーの温床となる懸念が指摘されていたが、地デジ受信ができるテレビやレコーダーの世帯普及率が約4割にとどまるなか、受信端末の多様化が不可欠と判断した。
Dpaはこれまで、地デジ番組の不正コピーを防止するため、PCメーカーがあらかじめコピー制限機能を搭載した高機能PCでのみ地デジの視聴・録画を容認してきた。しかし後付けチューナーへの要望の高まりを受け、約半年前から対応策の検討を本格化した結果、録画された番組を外部の記憶装置に持ち出せない機能の搭載などを条件に、後付けチューナー開発のためのガイドラインを7日に発表。これを受け、アイ・オー・データ機器やバッファローなどの周辺機器メーカーが相次ぎ開発計画を発表した。各社の製品は、早ければ連休前にも市場に投入される見通しだ。
Dpaが方針転換を決めた背景には、2011年7月に予定されるテレビの地上デジタル放送への完全移行に向け、地デジ対応端末の普及を急ピッチで進めなければならない事情がある。現在、地デジ受信機器の世帯普及率は約4割。アナログ放送では、後付けチューナーを使いパソコンだけで番組を試聴するユーザーが多く、「地デジでも同様の使い勝手を求める声が多かった」(Dpa)。
また昨年末ごろから番組を不正に録画・コピーできる海外製のPC向け地デジチューナーが発売されている事実が表面化。「これ以上制限すると違法行為がさらに広がる」(同)恐れがあるとし、合法チューナー容認に踏み切った。
総務省は「受信方法の多様化は地デジ普及にプラスになる」(情報通信政策局)とDpaの決定を歓迎している。
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