3D仮想世界はSecond Lifeで終わりじゃない、と思う
「Second Lifeは失敗した」と言われ、3D仮想世界への懐疑の空気も広がる中、ドワンゴが“ギャルゲー3D仮想世界”を発表し、注目を集めた。
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2008年04月06日〜2008年04月12日
先週のアクセストップは、「CLANNAD」など美少女ゲームの世界を、3次元仮想空間上で楽しめる「ai sp@ce」の発表会記事だった。
3次元仮想空間といえば、鳴り物入りで登場したSecond Lifeへの失望が広がっており、相次いで登場した国産の仮想世界も、コンシューマーサービスとして成功と言えるレベルに達するには課題は多い。最近は「3次元仮想世界そのものがダメ」という論調にもなりがちだ。
だがSecond Lifeは、いろんな可能性を見せてくれた。3Dの世界で国境を越えたコミュニケーションが行われる。3Dのアイテムをみんなで作る。アイテムだけでなく家や街までみんなで作ってそこで暮らせる――初めてログインした時、記者は驚きと感動を覚えた。
Second Lifeは先進的だった。日本で流行する3年も前の2003年に正式スタートし、ユーザーが創造する3次元仮想世界の実験を地道に続けてきた。ただ、ユーザーコミュニティーが育ったり、ユーザーインタフェースやインフラが整備される前に企業の広告だらけになり、世界が広がりすぎて過疎化してしまったのは、本当に残念だったと思う。
「Second Lifeが失敗した」と言い切るにはまだ早いと信じたいし、3次元仮想世界の実験は始まったばかりだ。Second Lifeにも、それに続く国産仮想世界も、これまでにないコミュニケーションや創造の可能性が埋まっている。
「現実よりも“リアル”な仮想世界が、あと十数年で実現する」――作家の瀬名秀明さんは言う(関連記事:瀬名秀明に聞く「仮想世界」「ケータイ小説」「初音ミク」)。3次元仮想世界へのチャレンジは今後も続くだろう。それが人の生活をどう変えていくのか、これからが楽しみだ。
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