「iPhone独壇場の時代は終わった」と千本氏 イー・モバイルがタッチパネル端末
「iPhone独壇場の時代は終わった」――イー・モバイルの千本CEOは、タッチパネルとテンキーを搭載したスマートフォン「EMONSTER lite」を発表した。タッチパネル端末市場に、HTCとのタッグで攻め込む。
「世界のビジネスマンはBlackberryなどスマートフォンを使っているのに、日本だけが音声のハンドセットで無理してネットを使ってる。携帯のガラパゴス現象の典型だ。世界のスマートフォンの大きな流れに、日本の携帯産業を持っていきたい」と千本CEO
「iPhone独壇場の時代は終わった」――イー・モバイルの千本倖生CEOは6月10日、携帯電話端末新製品発表会見でこう述べた。新製品は、タッチパネルとテンキーを搭載した台湾High Tech Computer(HTC)製スマートフォン「EMONSTER lite」(S12HT)を含む2機種。iPhone 3Gの登場で活気づくタッチパネル携帯端末市場に、HTCとのタッグで攻め込む。
「今朝、iPhone 3Gの発表があったが、iPhone独壇場の時代は終わったと思っている」と千本社長は言う。理由は(1)iPhoneの成功を見た世界の強力なキャリアが、タッチパネル搭載端末を今後続々と投入していく、(2)2G版iPhoneで採用されていた、Appleとキャリアが通信料金を分け合うレベニューシェアモデルは、オペレーターにメリットがない――ためだ。
左からHuawei Technologiesのアレックス・ジャン アジアパシフィック地域端末部門担当プレジデント(中国出身)、イー・モバイルのエリック・ガン社長(香港出身)、HTC Nipponのデビッド・コウ社長(台湾出身)。千本CEOは「チャイニーズの持つパワーが歴史的にみて新しい段階に入っている。この3人がそろった今日は象徴的な会見。歴史を変えるような陣容だ」などと話した
「世界のタッチパネル端末はiPhoneだけではない。Apple以外のあらゆるメーカーがタッチパネル端末を出してくるだろう。EMONSTER liteを開発したHTCは、世界のスマートフォンシェアの9割を占めている。iPhoneの何倍も何十倍も売ってる強力なベンダーが、タッチパネル端末にいくのは間違いない」
レベニューシェアモデルについては「オペレーターにほとんど利益が生まれず、オペレーターにとって共存し難いビジネスモデル。世界最大の端末メーカーであるNokiaですらやってないモデルだ。それが今後のモバイル業界で生存しうるモデルなのかというと、個人的には疑問だ」と話した。
タッチパネルスマートフォンと、月額料金の安さで勝負 国際電話も
新端末は、タッチスパネルを搭載したHTC製「EMONSTER lite」(S12HT)と、シンプル機能で端末価格を抑えた、中国Huawei Technologies 製「H11HW」の2機種。それぞれ下り最大3.6Mbpsのデータ通信に対応する。
EMONSTER liteは、2.6インチ(320×240ピクセル表示)のタッチパネルと、スライド式テンキーを採用し、Windows Mobile Professionalを搭載したスマートフォン。200万画素カメラやBluetooth 2.0+EDR通信機能も備えた。
HTC独自のユーザーインタフェース「TouchFLO」を搭載し、直感的に操作できるのが特徴だ。薄さ15.8ミリで「キー入力付きタッチパネルスマートフォンとして国内最薄」としている。3月に発売した「EMONSTER」と異なり、QWERTYキーボードは備えていない。7月上旬発売で、価格は後日発表する。
「H11HW」はブガッティの高級車を意識してデザインしたというシンプル機能の2つ折り端末。200万画素カメラ、テレビ電話機能、音楽プレーヤー機能などを備えた。
「われわれの大きなポイントは料金だ」――H11HWは、2年契約なら購入時の一時金は5980円で済み、購入後の割賦支払いも不要という低価格が売り。6月14日に発売する。
「日本の携帯戦争の1つの盲点は、高止まりしている月額利用料。世界と比べてどれだけ高いかということがメディアにも書いていない。これを変えなくては」と千本CEOは話し、29歳以下の新規契約者の月額料金を割り引くキャンペーンも発表した。
また、世界57地域に1分36円で国際電話をかけられる「イー・モバイル国際電話」も7月1日に開始する。申し込み不要で利用できる。
関連記事
- 「iPhone 3G」発表 ソフトバンクから7月発売
「iPhone 3G」が、ソフトバンクから7月11日に発売される。HSDPAに対応し、WebブラウザやiPodの機能、GPSなどを搭載した。 - イー・モバイルが事業開始1年 3強の壁崩せるか
イー・モバイルが、今月末で事業開始から1年を迎える。28日には音声通話サービスも開始するが、NTTドコモなど既存3社の壁を崩すことができるか。 - 「日本の携帯市場はまだ飽和などしていない」──イー・モバイル 千本会長
イー・モバイルの千本倖生会長は、音声サービスを開始するに当たって「日本が世界一の携帯国家になるためにどうすればいいか考えた」という。同氏は日本の携帯電話市場はまだまだ大きな成長の余地があると話した。 - 小型PCライクに使えるスライド&チルトスクリーン――EMONSTER「S11HT」
EMONSTERという愛称で登場するHTC製のWindows Mobile端末が「S11HT」。QWERTYキーボードを備え、手に持って使うときはスライドスタイルで、机において使うときにはディスプレイを傾けた“ミニPCスタイル”で利用できる。またSIMロックフリー端末とすることで、海外では現地キャリアのSIMを差して利用できるようにした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.