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米国はやっぱり「科学技術分野のリーダー」――非営利機関調査
科学技術分野での競争力低下が懸念される米国だが、研究開発投資額や技術者の数、大学教育などを総合評価すると、今も圧倒的トップと米調査機関は分析している。
非営利調査機関の米RANDは6月12日、科学技術分野での各国の競争力に関する調査報告を発表した。研究開発への投資額や科学者・技術者の数などを総合評価すると、「競争力を失いつつある」とされる米国が、今も世界の圧倒的なリーダーだという。
科学技術分野における研究開発投資額をみると、米国が世界全体の40%を占めてトップ。投資額の伸び(1993〜2003年)は年率5.8%で、欧州や日本以上の増加率。中国は、投資額は急増しているが、その効果はまだ現れておらす、特許や論文引用数などのアウトプットの面では、米国、欧州、日本が大部分を占めているという。
人材や教育の面では、米国はノーベル賞受賞者の70%を雇用しており、世界のトップ40大学の4分の3が米国に所在する。科学技術分野の大学卒業生の数は欧州や中国が米国を上回るが、米国では、米国生まれの卒業生の数以上に、同分野の労働力が伸びているという。海外生まれの科学技術者や海外からの留学生が米国の競争力に貢献しており、他国に対するリードを維持するために重要だと指摘。今後の方策として、留学生の卒業後の米国滞在や、優秀な技術者の米国移住を容易にするための移民政策、K-12(幼稚園から高校まで)の教育の改善などを提案している。また、米国の競争力が低下しているとの誤解は、科学技術分野に関するバランスの取れた分析が不足しているためだとし、調査分析への資金の必要性も訴えている。
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