Yahoo!、Google、MS、中国などネット規制国での行動規範を年内発表へ
中国政府に不正に協力しているとして米国議会で批判されている3社が、インターネット規制国への対応ポリシー策定の進展状況を報告した。
米Yahoo!、Google、Microsoftが、1年以上前から策定に取り組んできたインターネット規制国への対応ポリシーが完成に近づいていることを明らかにした。中国政府がこれら3社に、北京オリンピックの出場選手、報道記者、来場者のインターネットデータの引き渡しを迫る可能性に対する米国議員の懸念の声に対応したものだ。
Yahoo!、Google、Microsoftなどのインターネット企業は、インターネットの自由な利用を制限している中国などの国における自らの行動の在り方を規定する協定について原則的に合意している。これらの企業は、この自発的協定の主要な行動規範が年内に発表されると述べている。
これらのインターネット企業は1年以上前に、行動規範の策定に取り組んでいることを明らかにしていた。Yahoo!、Google、Microsoftが議会で批判を浴びたことを受けてのことだった。議会では、Yahoo!が反体制派の師濤(シ・タオ)氏のIPアドレス、ログオン履歴、電子メールの内容を中国政府に引き渡したことをはじめとする、これら3社の中国での行動がやり玉に挙げられた。中国当局はこれらの情報を入手した後、師氏を逮捕して10年の禁固刑を科した。
Yahoo!、Google、Microsoftは、ディック・ダービン上院議員(イリノイ州選出・民主党)とトム・コバーン上院議員(オクラホマ州選出・共和党)にあてた8月1日付の書簡で、協定のごく基本的な内容を明らかにした。両議員はYahoo!、Google、Microsoftにあてた7月21日付の書簡で、行動規範策定の最新の進展状況を報告するよう求めていた。
3社によると、行動規範は、「表現とプライバシーに関する基準」、「ガイドラインの実施」、基準をサポートし、評価システムを提供するための「ガバナンス、アカウンタビリティ、学習のフレームワーク」を中心としたものになる。3社はそのほかにも協定の幾つかの詳細を明らかにした。
Microsoftのグローバル問題担当コーポレート副社長、パメラ・S・プレスマン氏は、今後数カ月の間に、この取り組みの組織的事項の詰めが進められ、企業が社内で承認を取り付け、行動規範の実行に必要な組織的なコミットメントを計画できるようになるだろうと語った。
「われわれは今秋に、この取り組みのスタートに関する詳細な発表ができると考えている」とプレスマン氏は書簡で述べた。
ダービン議員とコバーン議員は3社への書簡の中で、行動規範がなければ、インターネット企業は中国政府から、北京オリンピックの出場選手や報道記者、来場者の個人データを開示するよう迫られる恐れがあると述べた。
Yahoo!、Google、Microsoftは両議員への書簡で、この問題に具体的には言及しなかった。
「あなた方が書簡で明確に指摘したように、企業などが世界各地で市民の基本的人権の保護を確保しようと取り組んでいる中、世界で起こっている出来事のために、行動規範は単なる理想ではなく、重要で不可欠なものになっている」とYahoo!の副法務責任者、マイケル・サムウェイ氏はダービン議員とコバーン議員への書簡に記した。
さらにサムウェイ氏は、Yahoo!は「この取り組みができるだけ速やかに実を結ぶように、精力的に活動に参加している」と述べた。
Googleの副法務責任者、ニコル・ウォン氏は、「Googleは中国で、ほかのどの検索エンジンよりもフィルタリングの対象を少なくとどめ、より高い透明性を維持してきた優れた実績がある」と両議員への書簡に記した。
Microsoftは、加入者情報についての政府からの提出要求に同社が対応するのは、所定の法的手続きに従って、権限のある法執行当局から要求があった場合に限られると述べた。
「われわれは必要に応じて、そうしたデータへのアクセスを求める外国政府に、定められた政府間手続きを経ることを要求する国際協定に従うことを求める」とMicrosoftは書簡に記した。「またMicrosoftは、ユーザープライバシーの保護を目指した社内のリスク評価手続きを適用する」
ダービン議員は声明で次のように述べた。「行動規範の策定は、世界中のインターネットユーザーの表現の自由を促進し、プライバシーを保護するというわれわれが共有する目標に向けての重要な一歩になる」
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