さよなら、ナショナル――松下、白物家電も「パナソニック」ブランドで統一
10月1日より、松下電器産業は社名および全製品を「パナソニック」で統一する。400億円もの費用をかけて、白物家電もパナソニックに統一する狙いとは?
「『松下電器産業の大坪』と紹介される、最後の機会と思って出席しました」
9月16日、都内で行われた白物家電についての説明会で、松下電器産業社長の大坪文雄氏はそうあいさつした。松下電器産業はこれまで白物家電を「ナショナル」ブランドで展開してきたが、10月1日より、同社の製品をすべて「パナソニック」ブランドで統一する。
「これまで、松下・パナソニック・ナショナルで分散していた価値を1つに結集したい」(大坪社長)
10月1日付けで社名もパナソニックに変更する。グループ企業でも「松下」が入っている場合は「パナソニック」名に変更、例えば松下電工は「パナソニック電工」になる。
→「断腸の思いもあるが」――松下が「パナソニック」に社名変更
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10月1日のブランド変更に合わせて発表した新製品は、エアコン「CS-X」シリーズ、冷蔵庫「NR-3Tシリーズ」、サイクロン掃除機「MC-JCシリーズ」、洗濯乾燥機「NA-VR5500/NA-VR3500」の4ライン。10月以降、順次発売していく。このほかの家電商品各種も、10月1日までにすべてパナソニックブランドに変更される。
400億円かけてブランドを変える理由
ブランド変更は全面的なもので、同社製品のカタログイメージや梱包(こんぽう)パッケージのデザインなどを統一。また、ナショナル・パナソニック両ブランドに分かれていた同社のショールームやWebサイトをパナソニックに1本化してリニューアルするなど、ブランド変更には「約400億円のコストがかかっている」(同社広報部)という。
これだけの費用をかけてパナソニックに統一する狙いは、特に海外市場において、ブランド統一による売上増を目指すためだ。「これまでも海外では『パナソニック』ブランドを使っていた。現在、海外と国内の売上はほぼ半々くらい。特に新興国には今後、力を入れていかなくてはならない。ブランドが異なると、同じ会社と認識してもらえないことがある。3ブランドを統一することで『松下は1つ』という統一感を出し、商機を逃がさないのが狙い。ブランドを統一することで(海外に向けて)社内の力を結集する。結果として、マーケティング的な成果もついてくるはず」(同広報部)
「ナショナル劇場」はどうなる?
パナソニックブランドへの変更を周知させるため、同社では「Hello! Panasonic」キャンペーンを展開する。六本木ヒルズの広告をジャックするほか、NTTドコモのiメニュー(iモードに接続すると最初に表示されるトップページ)をジャック、新聞1面広告を複数期間に分けて展開するなど、大がかりなキャンペーンだ。このほかにも、年末まで大量のテレビCMを流し「過去最大規模のCMでパナソニックブランドを浸透させる」(同社副社長の牛丸俊三氏)と話す。
なお、ナショナルブランドで1社提供してきたテレビ番組もタイトルを変更する。例えばTBS系列で放映しているドラマ枠「ナショナル劇場」は「パナソニックドラマシアター」になる。
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