プレミアム掃除機戦争――“サイクロンの次”のキーワードは?(2/2 ページ)
英ダイソンのヒットで始まった、高級掃除機ブーム。サイクロン式掃除機は一時的な人気に終わらず、6万円以上するプレミアム機がコンスタントに売れる市場を作った。今や高級掃除機に「強い吸引力」は当たり前。次に重要になると見て、メーカーが注力するポイントとは……。
吸引力+「きれいな排気」が今後のトレンド?
イマドキの高級掃除機は、吸引力が強くて当たり前。国内家電メーカーなら「省エネ」「使いやすさ」も不可欠な要素となる。そのほかに求められる機能とは何だろうか? メーカーによってアプローチはさまざまだが、日立アプライアンスの解は「清潔排気+低運転音」だった。
同社が9月29日に発表したサイクロン式掃除機「ロボットサイクロン(CV-RS3000/CV-RS2000)」と、紙パック式「ロボットパック(CV-RP3000/CV-RP2000)」はいずれも、“補じん率99.999%”と、“運転音49dB(デシベル)”がポイントのプレミアム掃除機である。
補じん性能が高いとは、ゴミと一緒に吸い込んだ空気を排出するときに、きちんと除菌できていることを示す。排気がきれいな掃除機は、細菌や花粉、ハウスダストなども逃がさないので、乳幼児やアレルギー体質の人がいる家庭に特にお勧めだという。「6畳の部屋なら約23分掃除機をかければ、クリーンルーム並みにきれいになる。洗浄度はクラス6、これは“雲の上”と同じくらいのきれいさ」(日立アプライアンス)
また、モーターのファンの回りにスリット入りのディフューザー(固定翼)を付けて、羽根音を軽減したり、ヘッド部分に低騒音化のためのジョイントを付けて風切音を抑えるなどして、運転音を小さくしている。
同社の調査によれば、プレミアム掃除機の購入者が一般掃除機の購入者より重視するポイントは「排気がきれい」「吸引力が長続きする」だったという。
特に、今後重視されるだろうと見ているのが排気のきれいさだ。2007年9月に東京都が国内外8メーカーの掃除機を集めて排気性能を測定し、今後は排気中の微粒子に関する規格や測定法の統一と、消費者へ結果を情報提供するよう、経済産業省や日本電気工業会へ働きかけていることも追い風だと話す。「従来から排気のきれいさを重視してきたが、他社で同じ数値を公表していなかったので、比較が難しかった。99.999%という数字は業界ナンバーワン」(同上)
日立アプライアンスでは、2007年の掃除機の売上のうち、プレミアム掃除機が占める割合は約3%だったという。「紙パック式もサイクロン式もプレミアムラインでそろえ、業界のトップ性能を提供していく。2008年はプレミアム機で(掃除機全体の)売上の10%を狙いたい」
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