ニコ動930万会員に 有料会員減、黒字化策は
ニコニコ動画の会員数が930万人となった。ユーザーが増えて設備投資はかさむが、有料会員数は微減。広告枠の拡大や有料ポイント制度の導入で黒字化を目指す。
ニワンゴは、「ニコニコ動画」の会員数が9月30日までに930万になったと発表した。ユーザーが増え、機能や人員も増強してコストがかさむ一方、有料会員数は減っている。10月から有料ポイント制を導入するほか、広告枠の数を3.5倍に増やし、新広告も導入するなど収益化に力を入れ、早期の黒字化を目指す。
ユニークユーザー(UU)数やページビュー(PV)は順調に増えている。1日平均のUUは、7月が過去最高で約236万人、月間PVは8月に過去最高の約20億となった。ニコニコ動画モバイル版の会員も順調に増え、約240万人に達した。
だが月額525円の有料版「ニコニコプレミアム」の会員は6月末から約1000人減って約20万3000人。7月に導入した新機能「ニコニコミュニティ」で有料会員に特典を付け、有料会員増をねらっていたが、今のところ不発といえる。
新たな収入源として、有料ポイント制度「ニコニコポイント」を導入する。動画を再生しながらプレイできるゲームを有料で提供。ドワンゴなどが運営する仮想空間「ai sp@ce」のアバターアイテム購入などにも使える。ポイントを使ったサービスは、今後拡大していく計画だ。
広告も強化し、売り上げ増につなげる。10月1日から、広告枠の数を従来の3.5倍に増やすほか、ユーザーが広告を巻き戻したりして操作できる新広告「ローテーションバナー」を導入しする。
有料会員限定の新機能も充実させる。10月1日スタート「ニコニコ動画(秋)」では、動画画面にアクセスした際に、再生ボタンを表示するか、そのまま再生できるかを、有料会員のみ選べるようにする。
冬には、有料の動画配信サービスも始める予定。より一般に受け入れられる形のサービスにリニューアルし、ユーザー層を拡大する計画だ。
「まだ赤字ですから」――ニコニコ動画の黒字化担当を自認するドワンゴ顧問の夏野剛氏は、有料会員に限定された新機能について、発表会のライブ配信を見ているユーザーから不満のコメントが付くと、こんな風に答えていた。
夏野氏によると「収益化のための機能は、ひろゆき(ドワンゴ取締役の西村博之氏)と、戀塚さん(ニコニコ動画を開発者のドワンゴの戀塚昭彦さん)を納得させるのが難しい」という。ユーザー目線で、広告や有料サービスに懐疑的な2人でもOKを出すような、“面白くてカネになる”機能構築に腐心しているようだ。
ニコニ・コモンズは4500作品が登録、ニコ生は2万人同時視聴へ
2次利用可能な作品を公開・共有する「ニコニ・コモンズ」の登録作品数は9月30日時点で計4500。うち画像が約3600、音声が約700、動画が約200という。クルークが運営するイラストSNS「pixiv」も、10月からニコニ・コモンズに対応を予定している。
ライブ配信「ニコニコ生放送」の同時視聴数は、現在は1万人までだが、年内に2万人に増やす計画だ。
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