「オタク市場」 メイド喫茶は縮小、電子コミック・同人誌など成長
矢野経済研究所の「オタク市場」についての調査によると、電子コミックや同人誌、フィギュアなどの市場規模が成長している一方、ブームになったメイド喫茶やアイドル関連グッズ、アダルトゲームなどは縮小傾向に。
矢野経済研究所が11月10日発表した2007年度の「オタク市場」についての調査結果によると、電子コミックや同人誌、フィギュアなどの市場規模が成長していることが分かった。一方、社会現象にもなったメイド喫茶はブームが過ぎて縮小、アイドル関連グッズ、アダルトゲームなども縮小傾向にあった。
「一定数のコアユーザーを有するとみられ、オタクの聖地である秋葉原などで扱われることが比較的多いコンテンツとその関連コンテンツ」についてオタク市場と定義して調査。12ジャンルについて市場規模と前年度比を調べた。
成長率のトップは電子コミックで、前年度から約2.5倍の250億円に。携帯電話の画面の大型化やコンテンツ表示の高速化などでストレスなく読める環境が整い、配信作品が増えていることが寄与した。
次いで同人誌が13.5%増の553億円となり、市場規模は調査ジャンル中で2位に。紙媒体の漫画市場は縮小傾向にある中、コミックマーケットなどの同人誌即売会の認知度の高まりや、ライトユーザーの参入で拡大傾向が続いているという。
一般に浸透してきたフィギュアは8.3%増の260億円。各地でイベントが増えてきているコスプレは6.8%増の360億円、団塊世代のコアユーザー化や鉄道ブームが後押しした鉄道模型は5.6%増の152億円だった。
一方、下落率が18.6%と最も高かったのはメイド・コスプレ関連サービスで、市場規模は105億円。市場規模が最大のAV(アダルトビデオ)は7.0%減の615億円、アダルトゲームも2.8%減の341億円と減少傾向。アイドルも4.7%減の505億円だった。
今後、オタクコンテンツの一般化で市場が飽和しつつあることから、成長率は鈍化すると見ている。同人誌市場も当面は拡大が続きそうだが、「マンネリ化による参加者の減少が危惧される」としている。コスプレでは著作権を無視した業者が多い問題を指摘し、鉄道模型は中高年層に偏りがちなため、新規ユーザーの獲得と定着が課題としている。
調査は今年7〜10月に、関連事業者や業界団体への面談などで実施した。
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