「ニコニコ動画(ββ)」は12月12日から 「クラウドメッセージング」掲げ「ニコニコ広場」
新バージョン「ニコニコ動画(ββ)」は12月12日スタート。「集団」の一体感を追求する「クラウドメッセージング」概念を掲げ、「明後日の方向への進化」の1つの到達点だという「ニコニコ広場」を実装する。
ニワンゴは12月4日、「ニコニコ動画」の新バージョン「ニコニコ動画(ββ)」を12月12日にスタートすると発表した。「個」に特化してきたネットサービスとは異なる、「集団」の一体感を追求する「クラウドメッセージング」概念を掲げ、「明後日の方向への進化」の1つの到達点だという「ニコニコ広場」を実装する(→発表会リポートを含む記事)。
ニコニコ広場は12月中旬に開設する予定。「ニコニコ動画」「ニコニコ割り込み」「ニコニコ生放送」が一体化した広大なコミュニケーション空間。別々の時間にコメントしたユーザー同士による非同期コミュニケーションであるニコ動と、ユーザーが同時に体験するニコ割とニコニコ生放送という同期コミュニケーションを融合。「ニコ動に集まる大人数のユーザーが、ネット上での共通体験を通して1つになれるプラットフォーム」だとしている。
具体的には、(1)時報(ニコ割)へのコメント、(2)ニコ割エリアのリアルタイム化、(3)23時間常設の生放送チャンネル──を実装する。
(1)は、ニコ動で時報が流れると自動的に広場に移動し、チャットすることができる機能。(2)は、視聴プレーヤー左上のニコ割エリアがリアルタイム化し、運営からの情報や地震速報、生放送中の番組の情報などといった今の情報が流れるという。(3)では、生放送やニコ割がない時間帯を含め24時間チャットを行うことができ、常に同期コミュニケーションを取ることができる。
「ニコ動上での共通体験を通じて、ニコニコ広場での同期的なコミュニケーションを図ることで、かつてない規模のリアルタイムコミュニケーションが可能になる」としている。
「クラウドメッセージング」は、ニコ動が提唱する新概念。「元来ニコ動が持っていたテーマである、ネット上に『群衆』を再現するための方法」という。
同社は、ネットサービスは個人の利用に特化する形に進化してきたが、これは人々が共通の体験をする場を減らし、結果的に人と人とのコミュニケーションを減らしてきた、とみる。クラウドメッセージングは、「失われた共通体験をネット上で再現し、大人数にネットでの一体感を与える」というコンセプトだ。「個」に特化してきたネット上の進化とは違う方向に発想する、「集団」での一体感の共有が、クラウドメッセージングを通じてニコ動が進化する方向だという。
公式動画を強化する「ニコニコチャンネル」
「ニコニコチャンネル」は12月5日スタート。コンテンツホルダーの動画を配信する「公式動画」と「ニコニコミュニティ」を融合・発展させる。コンテンツホルダーも拡充し、4日時点の参加企業は予定を含め120社(ニコ動にテレビ局など121社が「チャンネル」 「iモードのようなトップページに」と夏野氏
)。
コミュニティと一体化することで、チャンネルに参加しているユーザー限定のコンテンツ配信などもできるようにする。チャンネル運営者はアクセスコントロールが可能で、動画の投稿や閲覧、コメントの可否などを設定できる。チャンネルは運営者が自由に編集でき、アクセス解析ツールも提供してマーケティングに役立ててもらう。有料と無料の2種類が可能だ。
12日には「ニコニコユーザー生放送」を開始。ニコニコミュニティを活用してユーザーが生放送を配信できるようにするもので、各コミュニティのオーナー(管理者)と、コミュニティ内で動画アップロード権限を持つプレミアム会員(有料会員)が放送できる。
PCにカメラとマイクをつなげば簡単に生放送ができるようになっている。最大同時視聴数は「コミュニティレベル」(コミュニティ内のプレミアム会員数)で変化。1番組当たりの最長放送時間は30分で、ニコ動全体で同時に50番組までの放送に対応。ユーザー生放送の実施情報はニコニコ広場で分かるようにする。
お気に入り動画を宣伝・応援「ニコニ広告」
来年1月には「ニコニ広告」を始める。投稿した動画や気に入った動画に対し、「ニコニコポイント」を利用して宣伝・応援できる機能だ。
ニコ動の動画検索結果画面の上部に、ニコニ広告を利用して宣伝・応援されている動画を表示する枠を新設し、宣伝・応援されている動画を目立たせる。動画サムネイルには再生数やコメント数などに加え、「応援」(仮称)数も表示する。
動画再生終了後には「スポンサー枠」が登場。その動画に対して多くのニコニコポイントを使って応援しているユーザー名を、動画の「提供者」として表示する。
マイリス登録件数、有料会員限定で一気に拡大
マイリストの最大登録数は、プレミアム会員限定で上限を1万2500件(一般会員は100件)に拡大。またSMILE VIDEOの最大容量も引き上げる予定だ。
ニコニコミュニティでは、新機能・機能強化として(1)オーナー(管理者)から権限を与えられたメンバー同士で動画投稿や投稿者コメントなどを使える「共同作業機能」、(2)ランキングやウォッチページの動画の情報部分に出身コミュニティの名前が表示される「出身コミュニティ機能」、(3)コミュニティに投稿された動画に対し、メンバーのコメントに加え、元動画のコメントも薄く表示する「デフォルトスレッド表示機能」、(4)スレッドを複数立てられるなど、コミュニティ内掲示板の機能強化──を実装する。
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