「ポメラ」3万台突破 どんな人が使ってる?
ニッチなニーズを開拓した「ポメラ」がヒットしている。中心ユーザー層は30〜50代の男性。会議の議事録取りやブログの下書きなどに使っている人が多いようだ。
キングジムが昨年11月に発売したデジタルメモ帳「ポメラ」(pomera)が、4月までに出荷数3万台を突破した。想定を大きく上回るヒットで、同社は販売目標を大幅に上方修正。中心ユーザー層は30〜50代の男性で、会議の議事録取りやブログの下書きなどに使っている人が多いという。
ポメラは、文庫本サイズのデジタルメモ帳。4インチのモノクロ液晶ディスプレイ(640×480ピクセル)と折りたたみ式フルキーボード(キーピッチ約17ミリ)を備え、電源オンから2秒で起動。単四形アルカリ乾電池×2本で約20時間連続使用できる。
通信機能などは省いて「メモ書き」一本に絞り、ニッチな市場で熱烈に支持される商品を目指した。「巨大市場を狙うのは、当社には体力的に難しい。市場開拓型の新商品は、『打率1割でいいからホームランを狙う』『熱烈な賛成が10人に1人いればGO』という姿勢で開発している」と、宮本彰社長は話す。
狙いは当たり、「広告宣伝を一切していないにもかかわらず、予想を大きく上回る人気」(宮本社長)に。初年度の出荷目標は3万台だったが、10万台に修正した。
昨年10月の発表直後からネット上などで話題になり(2chの「ポメラ」スレに開発者が感激)、11月の発売時は「すぐに在庫がなくなった」(開発した同社の立石幸士さん)。品薄状態は今年3月ごろまで続いたという。
同社によると、ポメラのユーザーは男性が9割。特に30〜50代の利用が多い。会議で議事録を取るビジネスパーソンや、外出先でブログの下書きをするブロガー、小型デジタルガジェットファン、携帯電話は使いこなせないが、散歩をしながらエッセイや俳句を書きたいというシニア男性などが、代表的なユーザー像という。
「文章を書くことに価値を感じ、情報を積極的に発信する人に使っていただいている。通信機能がないためブロガーには受け入れられないと思っていたが、愛用者のブロガーからは、『外出先で、その場で臨場感がある記事を書ける』という意見をいただいている」(立石さん)
ユーザーからはさまざまな機能追加の要望が来ているが、多機能化はしない方針。今後、小型化したモデルや低価格モデル、ファッショナブルなモデル、高機能なモデルといった、複数のラインアップの展開を検討。将来は100万台の販売を目指す。
5月15日に新色「パッションレッド」「ターコイズブルー」「レーシングシルバー」を発売(各色2000台限定)。21日からはテレビCMを放映する。真っ白な背景にポメラを1台だけ置き、「インターネットやメール、ゲーム、音楽、これすべて、できません。できるのは1つだけ。文字を打つこと」というナレーションで単機能を強調。iPhoneのCMをほうふつとさせる構成のCMになっている。
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