MS、Windows 7向けに旧JIS互換フォント 最後の旧JIS対応に
マイクロソフトは、Windows 7でJIS90文字セット対応フォントを利用できるようにする互換パックを提供する。JIS90対応は7が最後のOSとなり、次のWindowsからはJIS2004に完全移行する。
マイクロソフトは7月13日、10月に発売する次期OS「Windows 7」向けに、JIS90文字セット(旧JIS)互換フォントパッケージを提供すると発表した。Windows 7はVistaと同様にJIS2004文字セット(新JIS)に対応しているが、字形の違いなどが問題になる一部アプリケーションに配慮し、7でも旧JISフォントを利用できる環境を用意する。
ただ、旧JISへの対応はWindows 7で終了。7の次のOSからは新JISに完全移行する。7はJIS2004への「最後の移行期間」と位置付けており、関連するシステム開発ベンダーなどに周知していく。
7は新JIS対応日本語フォントを標準文字環境として搭載している。旧JISはWindows XP以前に使われてきた文字セット。一般ユーザーは旧JIS互換フォントパッケージを利用しなくてもほぼ影響はないが、旧JISをベースにした印刷システムなど、字形の厳密性を必要とする一部のアプリケーションに対応させるため、7でも旧JIS対応フォントを提供することに決めた。
提供は10月1日から。パッケージ(バージョン1.2b)にはMS明朝とMSゴシックの旧JIS互換フォントが含まれる。
新JIS(正式には「JIS X 0213:2004」)では第3・第4水準漢字などが追加されているほか、「葛」や「鴎」など一部の文字で旧JISが採用していた字形(いわゆる「JIS字」)が変更され、一般の辞書や活字と同じ字形に統一されている。
マイクロソフトは「われわれの思想などは一切なく、日本の国語施策などで決定されたものを順守する」という立場。2004年2月に新JISが発表されたのを受け、06年に発売したVistaは新JISに対応したフォント「メイリオ」を搭載。XP用にも新JIS対応MSゴシック・MS明朝を配布した。
同社の中川哲コマーシャルWindows本部長によると、Vistaが新JIS対応を表明した際、文字化けなどへの不安などから「予想以上に関心を持たれた」が、実際には「一般マーケットでは大きな混乱はなかった」。字形が変わったせいで字が読めなくなった、といった問い合わせも同社のコールセンターにはなかったという。
Vistaでも一部環境に配慮して旧JIS対応フォントパッケージを提供しており、7でも同様に対応する。だが旧JIS互換フォントパッケージの提供は7が最後となり、次のOSでは新JISに完全移行する。
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