「ゲーセン市場は縮小する」 タイトーの生き残り策は
「ゲームセンター業界は今後縮小する」――スクウェア・エニックス和田社長は、業界の縮小均衡前提で、タイトーの生き残り戦略を組み立てている。
「ゲームセンター業界は縮小する」――タイトー社長を兼任するスクウェア・エニックスの和田洋一社長は、業界の将来をこう見る。タイトーは業界の縮小均衡を前提に、生き残り戦略を組み立てている。
ゲームセンター(アミューズメント)業界の市場規模は、施設からの売上高が年間6000〜7000億円前後、ゲーム機械の売上高がその3割弱・1500〜2000億円前後。これまでは「機械の供給過剰を施設の供給過剰で支えていた」という。
機械の供給過剰で施設が苦しくなると、機械メーカーが製造台数を減らして施設側の償却負担を減らし、2〜3年後に施設運営が回復。メーカーも生産を増やす――というサイクルで、業界は回ってきたという。
ここ最近は機械が供給過剰で、2006年〜07年と、機械市場が施設市場の30%を超える高水準になっていた。そこに08年の不況が直撃。金融機関からの資金調達が厳しくなって「施設がもたなくなって」きたため、タイトーやセガ、バンダイナムコといった施設運営各社は、店舗の整理縮小を急ピッチで進めている。
最終的に業界は、施設運営市場が5500億円と「過去10年の最低よりもっと下」の水準に、業務用機械販売は1500億円と、ここ10年でほぼ最低水準に落ち着き、「圧縮され適正水準になる」と和田社長は予測する。
タイトーの経営計画は「業界の縮小前提で組み立てている」という。市場規模が縮小し、参入事業者が減ることで、生き残った事業者は「非常に高収益になる」という見ている。
タイトーは、不採算店の整理・縮小を進める一方で、家賃などの面で条件のいい店舗に出店を加速。2009年4〜6月期は、退店数8に対して新規出店が12と、出店数が退店数を上回った。ゲーム機の製造では、単価が高くて複雑なゲームを抑え、省スペースで低価格、簡単なゲームを開発。アジアのマーケットに販路を広げるなど「リストラクチャリングを進めている」という。
スク・エニ4〜6月期は減収減益も「順調」
スクウェア・エニックスが8月7日に発表した09年4〜6月期連結決算は、売上高が前年同期比1.2%減の293億9900万円、営業利益が82.8%減の5億9400万円、経常利益が66.3%減の15億2900万円、純損益が16億7200万円の赤字。英Eidosの買収関連費用などが響いたが「通期計画達成に向けて順調に推移している」という。
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