P2Pファイル共有ソフト「Winny」の開発者が、大阪高裁の控訴審で逆転無罪判決を受けたことについて、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は10月8日、「意外であり疑問」とするコメントを発表した。
ACCSは、「判決は意外であり疑問を生じますが、詳細な判決内容の確認・検討をしたいと考えます」とコメント。さらに、「今回の判決にかかわらず、被告には社会的・道義的な責任が生じているものと考えます」としている。
ACCSは一審・京都地裁の有罪判決について、「非常に説得的であり、妥当な結果」とコメントしていた。
ACCSは従来から、「P2Pはネットの重要な技術の1つ」という立場だが、P2Pファイル共有ソフトについては、「著作権への配慮がないままだと、著作権侵害行為がまん延する」と主張。今後もWinnyなどを通じた著作権侵害行為の対策を続けていくとしている。
関連記事
- ACCSは「判決は妥当」とコメント ユーザーには違法行為の中止求める
- 「法に不備」Winny開発の金子被告に笑顔 逆転無罪判決
「あいまいな基準で幇助罪の成立を認めれば、技術者が開発自体できなくなる」──一貫してこう主張してきたWinny開発者に逆転無罪判決が言い渡され、開発者と弁護団から笑顔がこぼれた。 - Winny開発者、逆転無罪 二審・大阪高裁
「Winny」を開発・公開して著作権法違反の幇助罪に問われた開発者の控訴審判決で、大阪高裁は罰金刑とした一審判決を破棄、無罪を言い渡した。 - Winny裁判を考える なぜ「幇助」が認められたか
Winny開発者の判決は「予想より軽かった」と小倉秀夫弁護士は述べ、幇助とは何かを解説。「最大の悲劇は、Winnyのポジティブな利用方法をユーザーが開拓してくれなかったこと」と指摘する。 - Winny事件判決の問題点 開発者が負う「責任」とは
Winny開発者の有罪判決について、インターネットと著作権に詳しい法政大学社会学部の白田秀彰助教授は「不当判決というより『しょうがないねぇ……判決』」だと述べ、ソフト開発者が負う責任の拡大と、幇助の成立条件などに問題点を指摘する。 - 特集:Winny事件の衝撃
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.