「PC、電話、テレビ&クラウド」――バルマーCEOが示す未来像
テレビに話しかけるだけで、遠くの友人と簡単にコミュニケーションできる――バルマーCEOは、クラウド化が進んだ未来をこう展望する。
ここはスティーブ・バルマー氏の自宅。テレビに映ったタイガー・ウッズが、ゴルフトーナメントでナイスショットを披露した。
「ビル、タイガーのあのショット見たか?」。バルマー氏がテレビに向かってそうつぶやくと、自宅にいるビル・ゲイツ氏との回線がつながり、ゲイツ氏の家でショット動画を再生。ゲイツ氏から「見た」という答えが返ってくる。
「ところで、ウッズが使ったこのボールは何だっけ?」。ゲイツ氏がボールを指さすと、自動で検索が行われ、ゲイツ氏とバルマー氏それぞれの自宅のテレビに、ナイキのボールが表示される。「買ってあげるよ」。バルマー氏は決済し、ゲイツ氏にゴルフボールをプレゼントする。
――これは、MicrosoftのバルマーCEOが、11月5日に都内で開いた会見で示した未来のひと幕だ。音声や自然言語、身振り手振りといったナチュラルなユーザーインタフェースとクラウドコンピューティングを活用した未来のコンピューティング環境では、こんなことが可能になるとバルマーCEOは展望する。
「PC、電話、テレビ&クラウド」
「Microsoftはイノベーションを進めていく」――今年は95億ドルの巨費を研究開発に投じる。うち3億ドルは、今後5年、10年という長期的な視野に立ったイノベーションに投じるという。
「これまでは、PCが唯一のネット端末だったが、コンピューティング環境がクラウドに変革していく中で、携帯電話やテレビが参画してくる。3スクリーン・アンド・ア・クラウドだ」
3スクリーンとは、PCと電話(携帯電話)、テレビのスクリーンのこと。これらをクラウドサービスやソーシャルサービスとつなぎ、音声やタッチ操作、自然言語といったナチュラルユーザーインタフェースで操作できるようにする。体がコントローラーになるXbox 360用システム「Project Natal」も、そういった研究の一例だ。
「クラウドが新たなプラットフォームになり、オフィスアプリケーションもデザインソフトも動画も、音楽も雑誌も新聞もクラウドに移行する。これからが面白くなる。10年後、2009年の技術は原始的だったと思うようになるだろう」とバルマーCEOは話し、「Microsoftはイノベーションに注力する」と繰り返し強調した。
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