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ダウンロード違法化、補償金問題…… ネットと著作権、2010年はどうなる津田大介さんに聞く(1/2 ページ)

「ダウンロード違法化」スタート、補償金問題をめぐる権利者とメーカーの攻防の行方は――ネットと著作権をめぐる2010年の動きを、津田大介さんとともに展望する。

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 2009年もネットと著作権に関連する動きは激しかった。いわゆる「ダウンロード違法化」を盛り込んだ著作権法改正案が成立したほか、私的録画補償金をめぐってメーカーと権利者が対立し、訴訟にまで発展。Googleブック検索和解案への賛否両論もわき起こった。

 2010年、ネットと著作権はどう動くか――ジャーナリストの津田大介さんに聞いた。

ダウンロード違法化 「映画、音楽業界が啓発キャンペーンへ」

 6月、違法録音・録画物を違法と知りながらダウンロードする行為を禁じる内容などを盛り込んだ著作権法の改正案が成立した。違法着うたの広がりを封じたい音楽業界や、P2Pファイル交換ソフト上での違法な映画流通を止めたい映画業界などの意向を反映したもので、新年から施行される。

 津田さんは「施行に合わせてレコード業界や映画業界が、違法コンテンツのダウンロードは違法だと呼び掛ける啓発キャンペーンをテレビや新聞、レコード店などで行うだろう」と予測する。「特に、違法着うたを利用している中高生への啓発効果はあるだろう」

 ただキャンペーンの効果は短期的・限定的とみている。「半年、1年単位の効果あるだろうがそこから先の効果はあまり見込めないだろう」

 違法コンテンツをダウンロードしても罰則はないため、抑止の実効性は未知数だ。「実効性がなければ、罰則を付けるなどさらに厳しい法改正をすべきという議論もありえる」。ただ著作権法は改正したばかり。今後2、3年はさらなる改正は難しいとみている。

総務省を巻き込んだ動き 「違法着うた再生できない端末」も?

 権利者団体が次のターゲットにしているのは、プロバイダー責任制限法(ISP法)改正という。「著作権侵害コンテンツの流通の監視義務をISPに課してほしいとか、著作権侵害を受けた時の発信者情報開示請求のあり方についてなど」が来年、総務省で議論になりそうという。

 「ただ総務省は通信業者に規制をかけたくない立場。(著作権行政を管轄し、権利者寄りの)文化庁のようにすんなりは、権利者の意見は通らない」ため、結論が出るまでには時間がかかりそうだ。

 日本レコード協会は総務省を巻き込み、携帯電話事業者と端末メーカーを巻き込んだ違法着うた対策を提案しているという(PDF、32ページから)。正規の着うたファイルと違法ファイルを端末側で見分けられるようにし、違法ファイルのダウンロードや再生を技術的に禁止しよう――という内容で、2010年度に実証実験を予定している。ただ端末側の対応が必須で、全端末で対応するには「5〜6年かかる」とみており、費用をどこが出すかなど課題も多い。

 「レコード会社は今、相当厳しい状況になっている。この仕組みが5〜6年後に実現したとしても、そのころ大手レコード会社がどれぐらい残っているだろうか……。来年は3社ぐらいに減り、再来年はそのうち1社が危ない状態になるのでは」

録画補償金の行方 東芝×SARVH訴訟はどうなる

 録音録画補償金をめぐる問題も複雑になっている。補償金のあり方について06年から議論してきた文化庁傘下の「私的録音録画小委員会」は08年末に終了。iPodなどへの補償金課金に関する結論は持ち越しになり、その後の議論は進んでいない。

 録画補償金に関する権利者とメーカーの対立は、訴訟にまで発展した。パナソニックと東芝が、デジタル放送録画専用のDVDレコーダーの価格に、録画補償金を上乗せせずに販売。期限までに補償金を私的録画補償金管理協会(SARVH)に支払わなかった。SARVHはこれを違法とし、補償金相当額・3264万円の支払いを求める訴訟を11月、東京地裁に起こした。

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