17歳が語る“脱・ネトゲ廃人” 「スレた目」が変わったとき(2/2 ページ)
「非モテSNS」副管理人の西村本気さんは17歳の元“ネトゲ廃人”だ。今年1月に半生などを著書にして出版。6年間の引きこもり生活にひと区切りつけた。「いまはリア充です」――遠回りしたが、青春の真っただ中にいる。
「スレた目」が変わりはじめた
無気力な毎日が変わり始めたのは昨年6月ごろだ。1年前に取材されたときの内容をまとめた本「ネトゲ廃人」が発売された。複数のネトゲユーザーとともに西村さんも登場し、「スレた目をしている」と紹介されていた。本は8万部売れたという。
この本がきっかけで、リーダーズノートのオフィスにも遊びに行くように。社長に気に入られ、「本を書いてみないか」と誘われた。今度は自分がゲーマーの視点からネトゲの世界を紹介したいと、執筆を引き受けた。バイトを辞め、出版社で雑用を手伝いながら、原稿を書いた。
そして半年かけて完成させたのが「僕の見たネトゲ廃神」だ。ネトゲで出会った人や自身の半生を振り返る内容。4カ月間も風呂に入らずネトゲに没頭する人から、ネトゲ中に席を立つのが面倒だからとペットボトルで用を足す「ボトラー」まで、“廃神”が次々登場する。
初版は2万5000部で、2月半ばにさらに5000部増刷するなど、売れ行きは上々だ。「ぼくの人生が17歳にしては波乱万丈だからかも」。山手線の車内で、偶然著書の広告を見かけ、「もう乗れないな」と照れることもあるという。
「いまはリア充」「ネトゲは続ける」
出版社での経験は「何もかもが新鮮で楽しかった」という。「仕事をしないこと、ネトゲをすることだけが自由なんじゃない。本当に心から楽しめる今こそが自由なんだと気づいた」と著書で明かす。「ネトゲの世界よりリアルは広い。もう廃人になりたくない」と、西村さんの気持ちが変化していった。
「いまはリア充です」と笑う。平日は自身の本の営業で全国の書店を回り、その様子をブログにつづる。休日は、演劇の制作を手伝ったり、非モテSNSの運営スタッフとしてオフ会の企画などを担当している。
今年2月には非モテSNSの副管理人に就任。約20人の運営スタッフをまとめている。「非モテSNSがめちゃくちゃ楽しいです。居心地よすぎてモテなくていいんじゃないかと思うくらい」と西村さんの声が弾む。非モテSNSの管理人・えがちゃんは、「ほかのスタッフからかわいがられている。積極的で行動力もある」と期待を寄せる。
ネトゲは暇なとき1〜2時間プレイする程度に減った。ネトゲのチャットで昔からの友人と少し会話して満足しているという。「ネットでのリアルタイムのコミュニケーションの楽しさを知っているし、これはこれで大事にしていきたい」と、ネトゲを止めることはしないつもりだ。
今後は出版社での仕事を続けていきたいと考えている。高校を退学したことはもう後悔していない。「同年代よりよっぽど面白いことをしている。いまは人生を楽しんでいます」――西村さんの笑顔がはじけた。
関連記事
- ひきこもりからIT社長に “paperboy”の軌跡
27歳にして売上高8億円のIT企業の社長だが、高校時代はひきこもっていた。大学もあきらめ、サラリーマンになり、ネットで出会った妻と暮らした。つつましく生きていければ、それでいいと思っていた。 - インドの男性がゲームの連続プレイ記録に挑戦――しかしネットの反応は……?
ゲーマーならたぶん「気付けば一晩ぶっ続けでゲームを遊んでいた」なんて経験があるのではないでしょうか。さて、インドの男性がこのたび達成した「ゲーム連続プレイ記録」はどれくらいかというと……。 - 800本のゲームに捧げた青春 21歳、攻略サイト「GAYM」で起業
「訳の分からない道に進むな」――そんな両親の反対を押し切り、大好きなゲームの攻略サイトで起業した21歳の青年がいる。 - “目的のない”MMORPG、なぜ女性を惹きつける?
ユーザーの8割が女性のMMORPG「ダイナスティア」。戦いも目的もない同ゲームは、男性パワーゲーマーには理解されないが、ネット初心者の女性から支持を得ている。 - 86時間連続ネットゲームで死亡?
86時間連続でネットゲームをプレイし続けた男性が死亡するという事件が韓国で起きた。現地警察は「激しい疲労」が死因と見ている
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.