人気作家に月最大100万円 ユーザー投稿+“ケータイ雑誌”「E★エブリスタ」
ドコモとDeNAの合弁会社がスタートする「E★エブリスタ」は、有料コンテンツで稼いだ利益を原資にUGCクリエイターに報酬を支払う仕組み。UGCの事業化とクリエイター発掘を目指す。
ディー・エヌ・エー(DeNA)とNTTドコモの合弁会社・エブリスタは、プロが作った有料コンテンツと、ユーザー投稿コンテンツ(UGC:User Generated Content)を組み合わせた携帯/PCサイト「E★エブリスタ」(エブリスタ)を6月7日に正式オープンする。有料コンテンツで稼いだ利益を原資に、人気のUGCクリエイターに報酬を支払う仕組みだ。
有料の「E★エブリスタプレミアム」は「ケータイが雑誌になる」がコンセプトで、当初はiモード限定。月額210円で、プロの小説やコミック、エッセイなど書き下ろし作品を配信するほか、ユーザー投稿で募った作品のうち人気のものを配信。ひと月当たり、紙の雑誌換算で約500ページ分のコンテンツが読めるという。
サービス開始当初から、中田英寿さんがサッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会について語る連載を目玉として配信。有川浩さんや片山恭一さんなどの小説、松本零士さんや江川達也さんなどの漫画、持田香織さんや香山リカさん、サンボマスターのエッセイなど50タイトルを連載する。
有料サービスは当初、iモード限定で、iモードトップページに専用のボタンを設けて誘導。今後、KDDI(au)やソフトバンクモバイル端末、iPhoneなどスマートフォンや、iPadなどタッチパネル端末への対応も検討する。
月100人以上に報酬、最優秀作には100万円
無料のユーザー投稿(UGC)サービスは、小説、コミック、俳句/川柳/和歌、イラスト、レシピ、写真の6分野で作品を募集。3キャリアの携帯電話やPCからアクセスできる。
DeNAのSNS「モバゲータウン」と連動し、モバゲーに投稿された小説やイラストもE★エブリスタ上で閲覧可能に。モバゲーの作品とプレオープン中に投稿された作品を合わせ、5月31日時点で100万点以上投稿されているという。
ユーザー投票で人気作品を決め、人気作家は「エッジスタ」に認定。当初は30人程度(3カ月後に70人弱程度)のエッジスタを決め、1位の作家には100万円分のポイント(換金可能)を支払う。ランクが下がるにつれ報酬は徐々に減るが、エッジスタであれば最下位でも月額最低3万円もらえる。エッジスタに認定されていない一般のクリエイターも、月100人程度に報酬を支払う予定だ。
エッジスタの中でも人気の作品は、出版社などコンテンツ各社と協力して出版や映像化を支援し、クリエイターのプロデビューをサポート。テレビアニメ「戦国 BASARA 弐」のイラスト投稿イベントや、幻冬舎と協力した小説大賞など、コンテンツ企業と協力したイベントも行って投稿を活性化する。
著作権侵害や公序良俗に反する投稿がないよう監視。ユーザーによる通報システムも備えた。
30代半ばがメインターゲット テレビなどでプロモーション
メインターゲットは、ケータイ小説などユーザー投稿型サイトになじみの薄い30代半ばだが、若年層から40代、50代の利用にも期待する。写真や俳句など高年齢層の趣味としても人気のあるメニューをそろえ、「有料コンテンツをフックに、高年齢層にもユーザー投稿サイトを知ってもらう」(エブリスタの池田純社長)狙いだ。
テレビCMや中吊り広告などでプロモーションを行う予定。有料コンテンツを中心にPRし、早期に有料会員100万人を目指す。当初の収益源は有料サービスからの課金収入だが、メディアが成長すれば、広告を掲載して広告収入も得る予定だ。
DeNAの南場智子社長は、「これまで報酬を得られなかった、プロとアマチュアの間にいる作家に報酬を還元できる初めての大規模プロジェクト」と期待。「英語圏でスタートしたSNSに小説投稿機能を付けたところ、全ユーザーに占める投稿者の割合は日本の2倍、8%にもなった。作品を投稿し、フィードバックを受けてまた頑張る――というのは日本が生んだ、世界に通用する文化だ」と話し、海外展開も視野に入れている。
ドコモの辻村清行副社長は「iモードの公式のUGCサービスのページビューは2007年以来7倍に伸びており、成長余地も大きい。課金システムも提供できる」と期待する一方、「コンテンツはiメニューの基準でしっかり審査していきたい」と話している。
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