三木谷社長「日本企業であることをやめる」 楽天の世界戦略
「日本企業であることをやめ、世界企業になる」と三木谷社長が宣言。楽天の世界戦略に関する会見のプレゼンテーションは、すべて英語で行われた。
「楽天は日本企業であることをやめ、世界企業になる」――楽天の三木谷浩史社長は6月30日に開いた世界戦略に関する会見でこう宣言した。世界展開に向け、今春から社内公用語を英語化。会見のプレゼンテーションもすべて英語で行われた。
同社は2008年から、EC事業の海外展開をスタート。台湾進出を皮切りに、中国Baiduとの合弁で中国にも進出。米国のECサイト大手Buy.com、フランス最大のECサイトPriceMinisterを買収して傘下に入れるなど、すでに6カ国に進出している。
進出済みの地域を拠点に周辺国にも広げ、27カ国に進出する計画。2009年度の楽天グループ流通総額は1兆8000億円だが、将来はこれを20兆円に拡大し、海外取扱高扱比率を7割に高める。「国内ナンバーワンではなく、世界ナンバーワンになる」と三木谷社長は意気込む。
ECサイトの運営手法は、ショッピングモール(BtoBtoC)型の“楽天モデル”にこだわらず、BtoCやCtoCなど各国の市場環境やパートナー企業に合わせて柔軟に展開。ECを中心に旅行や金融に事業を広げていった楽天の成功モデルを各国に輸出し、“楽天経済圏”をグローバルに築く考えだ。
海外展開の成功に向けた第1歩として、社内公用語の英語化を推進。役員会議や経営会議、全社員を集めて毎週行っている「朝会」(あさかい)を英語化したほか、社内資料の英語化も段階的に推進。2012年までに社内コミュニケーションをすべて英語化していく方針だ。
「ネット上では英語が使われている割合が高く、公用語を英語にすることで、社員の能力や視野を一気に上げられる。幹部だけでなくスタッフレベルで海外との人材交流も行っていく計画で、英語は必須」と三木谷社長は言う。
本社機能の一部を海外に移すことも検討している。「マーケティング機能はニューヨークに、開発はインドに、といったこともあり得る。楽天は日本企業であることをやめ、世界企業になる。そのためには世界の標準語・英語を公用語にする必要がある」
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