“マーケティング頭脳”付き自販機、品川駅にお目見え 47インチタッチパネルで操作
47インチのタッチパネルディスプレイで商品を選んで購入する自販機がJR品川駅に登場。客の性別や年代、季節や時間に応じて最適な商品を表示する機能を搭載した。
JR東日本ウォータービジネスは8月10日、47インチのタッチパネルディスプレイで飲料を選んで購入する自動販売機を、東京のJR品川駅に2台設置した。客の性別や年代、季節、時間などに応じて最適な商品を表示する“マーケティング頭脳”付きの最新モデルだ。
一般的な飲料自販機に付いている商品サンプルの陳列スペースや選択ボタンがなく、代わりにタッチパネルディスプレイを搭載した。客は、ディスプレイに表示された複数の商品画像から買いたいものを選んで直接タッチし、購入する。タッチパネルを採用することで、シンプルで直感的な操作性を実現したという。
季節や時間、気温に応じた商品の映像を流す機能も備えた。客がいない時などに、湯気が立ち上る熱々のコーヒーや、水滴が付いた冷たそうなミネラルウォーターの映像など、商品の魅力を伝える映像を映し、購入を促進する。
自販機は同社のサーバとWiMAXでつながっており、大容量の映像をタイムリーに配信できるという。災害時には商品を無料提供するよう遠隔操作することも可能だ。
顔認識技術も応用する。客が顔を自販機に向けると、上部に設置したカメラで顔画像をとらえ、性別や年代を推定。最適な商品におすすめマークを付けて強調する。客の属性やPOSデータを自販機から取得し、今後おすすめの精度を上げていく。複数の客がいる場合は、最も近くにいる人の顔画像から推定。性別と年代の両方を正しく判定する確率は75%という。
売り切れ商品の映像はディスプレイに表示しない機能もある。一般的な自販機なら売り切れを示す赤ランプが点灯するところだが、「客にとっては失礼な話。店舗と同じようなオペレーションを実現する」と、同社の阿部健司自動販売機事業部長は話す。
デザインはインダストリアルデザイナーの柴田文江さんが担当した。本体は銀色で近未来風。取り出し口が床上45センチの場所にあり、女性がひざを曲げずに商品を取り出せるよう工夫している。
本体サイズは約1950(高さ)×1460(幅)×875(奥行き)ミリで、重さは約517キロ。本体価格は従来の自販機の約5倍という。
同社の田村修社長は、「自販機は客との接点だが、これまで約25年間ほとんど変わっていない」という。新モデルは「これで本当にいいのか、と次世代自販機を模索する」中で、約2年間かけて完成させたという。阿部部長は新モデルで「客との接点を豊かにする」と強調する。
まずは品川駅に2台設置した。今後2年間で都心部を中心に、新規・置き換えの両方で500台を展開する計画だ。
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