「憤青を日本に輸出しててワロタ」──尖閣問題、中国ネットユーザーの反応は(2/2 ページ)
尖閣諸島問題に対し、中国の人々の実際の反応はどうなのだろうか。ネットの内と外、またネットのコミュニティーによっても温度差があるのが実際のようだが──。
人民日報「琉球諸島に尖閣諸島が含まれる」
少数派だが、変わった内容のブログ記事を紹介しよう。
「1953年1月8日」で検索すると、その日の「人民日報」の記事に「琉球諸島に尖閣諸島が含まれる」という記述があったことを紹介したブログがヒットする。つまり尖閣諸島は琉球諸島(沖縄県)に属している=現在の日本領であることを、中国共産党の機関紙である人民日報が過去認めていたことを示す内容だ。
反日行動を勧めるブログ記事が転載で増殖していくように、この人民日報記事を引用したブログ記事も転載され、じわじわとその数が増えている。そのいくつかは、「琉球諸島に尖閣諸島は含まれる」「琉球人民は日本人とともに独立しようとしている」という箇所を強調した上で転載している(当時の沖縄は米軍による占領下だった)。
元になったブログ記事は、今回の事件をきっかけに書かれたものではない。以前に尖閣問題絡みで反日気運が高まった際、「日本右翼」の言い分を確かめるべく、1946年分からデジタルアーカイブ化されている人民日報の記事を確認したものだという。
元記事のブロガーは人民日報記事の該当箇所をコピーして掲載しただけで、内容についてコメントはしていない。だが読者からのコメントは「ちょっとした書き間違いに過ぎない」「少しの言い争いの種が生じるだけ」といったものから、「つまり沖縄も日本に属していない」「沖縄の主権を中国が主張するのは既に難しい」といったものまであるものの、尖閣問題についての中国側の主張が歴史的にみて誤りかもしれない──というコメントはなく、自分たちの国土を拡大したいという主張の方が多い状況だ。
一方、船長釈放後も謝罪と賠償を要求する中国に、対中感情が悪化する日本。2ちゃんねるなど日本の掲示板サイトに書き込まれた中国に対する怒りのコメントをリストアップ・翻訳し「憤青が日本に輸出されているよ」と高笑いする中国のブログもある。そして、こうしたブログもまた拡散している(たとえばここやここ)。
中国在住の日本人は「自宅で日本の報道を見て、さらに中国のネットを見て煽られると中国に対する不快感の高ぶりを感じるけれど、一歩外に出ると尖閣問題に対する報道も尖閣問題を語る若者もいないし、街中の雰囲気に拍子抜けする」と話していた。
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