「NHK特集」などYouTubeで無料配信 「権利処理された映像を見る習慣を」
「NHK特集」などNHKの人気番組を配信するYouTubeに公式チャンネルをNHKエンタープライズがオープン。「NHKは見ないがYouTubeは見る」という層に、NHKの番組に親しんでもらう狙いだ。
「多くの方に、正規に権利処理されたコンテンツを見る習慣を付けてもらいたい」――NHKエンタープライズは12月6日、YouTubeでNHKの過去の番組などを無料配信するチャンネル「NHK番組コレクション」を開設した。国内でPCからのみ視聴できる。
過去の「NHK特集」や「ミニ英会話 とっさのひとこと」「みんなのうた」など、有料配信の予定がない番組のノーカット動画200本を配信するほか、「大河ドラマ 篤姫」「連続テレビ小説 純情きらり」など「NHKオンデマンド」で有料配信している番組を3分程度に編集したショートクリップ30本を公開。毎週新しい動画を追加する予定で、今後、「ためしてガッテン」や「プロジェクトX 挑戦者たち」などをノーカットで配信予定だ。
「NHKは見ないがYouTubeは見る」という層に、NHKの番組に親しんでもらう狙い。ショートクリップからNHKのDVD販売サイトやNHKオンデマンドにも誘導し、売り上げ拡大にもつなげる。YouTubeの著作権侵害対策システム「Content ID」の効果も検証していく。
NHKへの接触者層を増やしたい
NHKの番組本編をYouTubeで配信するの初。NHKは2008年、YouTubeに公式チャンネルを開設しているが、番組のPRやNHKオンラインの紹介など、広報的な役割が強かった。
「NHKへの接触者層を増やしたい。NHKはあまり見ていないが、YouTubeは見ているという人は多い。そういう人に親しみを持ってもらいたい」と、NHKエンタープライズ上席執行役員の関本好則さんは狙いを語り、YouTubeという新しいメディアで経験を積みたいと話す。
YouTubeにはテレビ番組を無断でアップロードした動画も多い。YouTubeの権利者向けシステム「Content ID」を使い、NHKエンタープライズが投稿した動画と同じ動画や似た動画を自動でピックアップして投稿をブロックするなど、違法動画対策も進めていく。
NHK番組コレクションにはバナー広告を掲載。YouTubeは広告収益の一部をNHKエンタープライズに支払う。今後、動画の最初に広告を挿入することも検討している。
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