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今夜も名酒場をはしご飲み グーグル・河野あや子さん企業広報の「隠れ家でちょっと一息」(1/3 ページ)

海外旅行ガイドの編集者、海運専門紙の記者、そして大手自動車メーカーの広報と、異色のキャリアを積んできた河野さん。愛すべきお酒を飲みながら、これまでに学んだ大切なことを語ってくれた。

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 「はしご酒が大好き」――。この言葉に寸分の違いはない。こよなくお酒を愛し、週3日は新宿界隈を飲み歩く。そうした豪快さとは裏腹に、繊細かつ気配り上手な一面も持つ。人望厚く、多くの人たちから慕われているのは、河野あや子さんの人間性そのものの魅力によるところが大きいのだろう。

グーグル 広報マネジャーの河野あや子さん
グーグル 広報マネジャーの河野あや子さん

 河野さんは現在、グーグルの広報マネジャーとして、世界的なビッグカンパニーのPR戦略の一翼を担っている。2年半前に入社したグーグルが、実は社会人キャリアにおいて4社目となる。

 大学卒業後、海外ガイドブックなどの編集者としてJTBに入社。4年目に退社し、フリーランスで新聞の編集や執筆に携わる。そうした時期、通訳ボランティアとしてピースボートに乗り込み世界を一周し、帰国後は、海運業界向け専門紙『海事プレス』の記者として会社勤めを再開する。

 このように、編集者、記者としての道を歩んできた河野さんに転機が訪れたのは、ある人物との出会いだった。

 「日産自動車CEOの専属広報をしてみませんか」――。ある日、河野さんに声が掛かる。日産CEOのカルロス・ゴーン氏の担当広報としてオファーを受けたのだ。河野さんにとって企業広報といえば、日ごろ自分が取材する際の対応相手というイメージしかなかった。さらに今回は専属広報ということで「ゴーンCEOの秘書のような仕事だと思っていた」という。

 ところが、面接したあるエグゼクティブの一言で価値観が大きく変わる。「広報はストーリーテラー(語り部)でなければならない」。

 「PRする上で(製品やサービスなど)最終的なアウトプットが一番重要ですが、そこに付加される、信頼に裏打ちされたストーリーに大きな価値があるわけです。そうした意味で、広報とジャーナリズムは通じるものがあるのだと実感しました」と河野さんは話す。

 そうして企業広報のキャリアを出発させた河野さん。これまでの経験が大いに生きるとはいえ、新たな職種ということに戸惑いはなかったのだろうか。

 「視点が異なると、仕事のやり方がこうも変わるのだなと思いました。記者の立場では10を取材しても3しか書かなかったり、書かなくても情報を引き出したりします。広報は書いて欲しかったり、あるいは伝えられない情報があったりするわけです」(河野さん)

 一方で、記者の手の内も知っているので、取材する側にとっては手ごわい広報として畏敬の念を抱かれていたところもあったのだろう。

 日産でCEOの担当広報、そしてグローバル広報と約4年間在籍した後、2010年4月にグーグルへ転職した。そうした行動をとった背景にはゴーン氏から学んだ「いろいろなチャンスに対してオープンであるべき」という哲学が関係するという。「ゴーン氏はよく(さまざまなビジネスチャンスに対し)“open to all opportunities”だと話していました」「すべてに耳を傾けることがオープンであり、チャンスだと思えば動くべきなのだということです」と河野さんは力を込める。そして迷いを断ち、舵を切った。

 このように豊富な人生経験を持つ河野さんの横顔を少しでも紹介するべく、今回は色鮮やかなネオンが灯る新宿三丁目の酒場で話を聞いてきた。

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