「Google Readerが終わっても、RSSは終わらない」――伊藤直也さんに聞く(2/2 ページ)
Google Reader終了を受け、「RSSは終わる」「RSSリーダーはオワコン」といった論調も目立ってきたが、伊藤直也さんは「RSSもRSSリーダーも終わらない」と話す。
RSSが注目され始めたのは2005年ごろ、“Web 2.0”の時代だ。あれから5年以上の時を経た今年、RSS関連の大きなサービスが相次いで終了するのは、ポストRSSの時代に移行しつつある証だ――などとつい意味付けたくなるが、それぞれのサービス終了には、個別の理由がある。「全部をマクロにとらえ、因果関係があると考えていいかどうかは疑問だ」
ソーシャル時代でも、RSSリーダーは使われ続ける
ただ、ネットユーザーの情報収集の形は変わりつつあるのは事実だ。TwitterやFacebook、ソーシャルニュースサービスで情報を得る人が増え、RSSリーダーを使う人が減ってきているのは現実で、Google Readerもユーザー数が減少しているからこそ、終了を決めたのだろう。「僕も、RSSリーダーで直接ブログを読むことが減っているし、僕の周りのエンジニアもそうだ」と伊藤さんも認める。
だからといって、「RSSリーダーが終わる」と考えるのは早計だ。ソーシャルメディアに最初に情報を投稿する「インフルエンサー」や「キュレーター」と呼ばれる人は、ブログの更新情報をRSSで受け取り、その情報をソーシャルメディアに“再放流”している人が多い。RSSリーダーがないと、ブログの更新情報をすぐさま得ることが難しくなり、ソーシャルメディアでの情報流通自体が成り立ちにくくなるのだ。
「ソーシャルメディアがあればRSSリーダーはいらない」は、「Yahoo!ニュースがあれば新聞社はいらない」という言い方に似ていると、伊藤さんは指摘する。新聞社がなくなれば、Yahoo!ニュースに配信されているニュースそのものが減り、Yahoo!ニュースが成り立たなくなるように、RSSリーダーがなければ、ソーシャルメディアに投稿する人が情報を得る手段がなくなり、ソーシャルメディアでの情報流通自体が困難になる――というわけだ。
RSSリーダーが不要になるのは、ブログなどの更新情報をいち早く取得できる、より効率的な手段が現れた時だろう。「代替手段が出てこない限り、RSSリーダーもなくなることはない」
Google Reader終了で、情報収集ツールは進化する?
RSSリーダー市場を寡占していたGoogle Reader終了を受け、ライバル各社がユーザー獲得に名乗りをあげている。
日本のヤフーは、Google ReaderからMy Yahoo!への移行ツールを「爆速」で完成させ、Google Reader APIのクローンを用意した「Feedly」(米DevHDが運営)は2日で50万以上のユーザーを獲得。米Diggもソーシャル機能付きのRSSリーダー開発を急ぐなど、市場がにわかに活気づいてきた。
Google Readerの終了で、RSSリーダーに代わる新サービスへの注目が集まり、開発が加速する可能性もある。「RSSリーダーには技術的に非効率な面があるが、これまでGoogle ReaderがRSSリーダーの標準で、乗り換えようという人はあまりいなかったから、開発のモチベーションも上がりにくかったが、Google Readerがなくなって困っている人が多いなら、それがモチベーションになる」
RSSリーダーに代わるサービスをもし自分で作るとしたら、「RSSという技術自体は使うと思う」と伊藤さん。「サイトの新着情報を取得するには、RSS以外に効率的な方法が思い付かない。ただ、アーキテクチャや提供するユーザー体験は、今のRSSリーダーとは異なるものを作るだろう」
Google Readerは、多くのネットユーザーがロックインされていたサービスで、突然の終了に対する動揺は大きかったが、他社サービスへの乗り換えや新サービス開発が進むことで、動揺も収束していくと伊藤さんはみている。「僕の予想では、3カ月後ぐらいには、Google Readerがなくてもなんとかなるようになっていて、何事もなかったようにGoogle Readerは消えてなくなるんじゃないかな」
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