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変わる「中国的幸福論」 「2ちゃんねらー」「干物女」的な「ディャオスー」現る(2/3 ページ)

経済の失速に大気汚染。GDP向上こそ幸福につながると努めてきた中国で「幸せって何?」と価値観が変わりつつあるという。ネットでは“結婚なんかできそうもない”自虐的な「ディャオスー」が現れ──山谷氏による現地からのリポート。

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 騰訊の「中国幸福地図」のサイトでは、各省に住む人々が、「治安」「医療」「飲食」「物価」「収入」「就職」「教育」「交通」「空気」「不動産価格」について、どれだけ満足しているかそれぞれ10点満点で回答する内容になっている。

 上海や北京や広東省では収入に満足な人が多い反面、物価や不動産価格は非常に高く、満足度が極めて低い。一方、その他の省の人々は所得の少なさを嘆いている。ネットユーザーは北京、上海、広東省以外のほうが多いため、所得の少なさを不満にする声は大きい。「中国幸福地図」では「治安」から「不動産価格」に至るまで10項目もの幸せの指標を提案したものの、やはり多くのネットユーザーにとっては1にも2にも収入が最も重要らしい。

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騰訊「中国幸福地図」。多くの省で各項目で満足度は50%以下と低い水準だ

「2ちゃんねらー」「干物女」的な「ディャオスー」

 「家族が元気なら幸せである」という考え方もあるが、どうも中国都市部の大学生〜30代がメインのネット世代は異なるようだ。出身地から離れた都市で就職している人は、年末に帰郷する際、お土産やお年玉を用意するのが面倒で帰りたくもないという人も多い。同じ都市に一族が住んでいるケースでも、大家族の集いに参加するのはおっくうで、そんなに頻繁に会うのは面倒──との声もよく聞く。リアルでも「伝統的な儒教的思想」は若い都市部の人々の間で消えているように思う。

 また「結婚」も幸福を得るための1つの方法と言えそうだが、その結婚も今や簡単ではない。中国女性の求める男性像のハードルが高くなっており、まるで日本のバブル期を見ているかのようだ。

 結婚仲介サイト大手「世紀佳縁」のレポートによると、男性が女性に対して求める条件は所得ではなく「体重60キロ未満」なのに対し、女性は男性に「高身長」「(平均収入の数倍もの)高収入」を求めているという。所得でふるいに落とされる男性や、見た目でふるいに落とされている女性は「失敗した人」として、モテない・イケてない男女を意味するネットスラング「ディャオスー」(漢字は「※絲。※は尸(しかばね)に吊)と呼ばれ、自嘲をこめて自称するようになった(中国で日本に関心を持つ人々いわく「ディャオスー」は「2ちゃんねらー」「干物女」を同義だとしている)。

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Baidu(百度)の「百度百科」による「ディャオスー」の説明

 調査会社「易観国際」(Analysys International)は今月、「ディャオスー」に関する調査結果を発表。中国の人口13億人のうち、4割に当たる5億2600万人がディャオスー、ないしその予備軍(特に80年代生まれに多いという)だとして話題になった。

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