Google X、“気球式インターネット網”プロジェクト「Project Loon」を発表
Googleが、「誰もがネットに接続する未来」実現のため、アンテナを搭載した複数の気球同士を接続して構築するインターネット網プロジェクトを発表した。既にニュージーランドで実験を開始した。
米Googleは6月14日(現地時間)、主に新興国でのインターネット接続環境提供を目的とする、気球(balloon)を使ったインターネット網構築プロジェクト「Project Loon」を発表した。まずニュージーランド上空に30機の気球を打ち上げ、50人のユーザーが参加する実験を開始した。
同社はかねて、世界における普遍的なWebアクセスの実現を提唱している。このプロジェクトにより、地形的条件や経済的要因でインターネットへの接続環境構築が難しい地域への接続手段の提供を目指す。
同プロジェクトに取り組むのは、自動運転カーやGoogle Glassなど、(GoogleがMoonshotと呼ぶ)さまざまな実験的プロジェクトを抱える部門「Google X」。気球でインターネット網を構築するというアイデアはばかげて聞こえる(プロジェクト名の「Loon」はballoonにかけたものだが、looney(ばかげた、非常識な)という意味もこめたという)が、科学的な裏付けのある技術だという。
おおまかな仕組みは、特殊なアンテナを搭載した複数の気球を上空18〜27キロの成層圏に飛ばし、気球同士と地上に設置したアンテナとを接続することでインターネット網を構築する。
成層圏には一定の方向に安定した速度の風が吹く複数の層があり、Googleは「複雑なアルゴリズムと膨大なコンピューティングパワーによって」こうした風を利用して気球を制御する方法を編み出したという。複数の気球を適切に配置することで、広大な通信ネットワークを構築できるとしている。
気球のサイズは15×12メートル(完全に膨らんだ状態)で、太陽電池と制御用基板、無線アンテナがぶらさがっている。通信には免許不要のISM(Industry Science Medical)バンドを使い、1機の気球は地上の直径約40キロの範囲に接続を提供できる。通信速度は3Gと同程度という。
Google Xの事実上の統括者であるアストロ・テラー氏は、地球の南半球上を流れる風の軌道に気球を乗せれば、アフリカ大陸、南アジア、南米など新興国の多い地域にネットワークを提供できると語った。
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