「MicrosoftはNSAにOutlook.comの暗号化迂回を認めていた」とGuardianが報道
Guardianが、MicrosoftがFBIと協力し、NSAがOutlook.comの暗号化前のデータにアクセスできるようにしたと報じ、Microsoftはこれを否定する声明を発表した。
英Guardianは7月11日(現地時間)、米Microsoftが米連邦捜査局(FBI)と協力し、米国家安全保障局(NSA)がOutlook.comの暗号化を回避する方策を立てていたと報じた。元米中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデン氏から入手した米連邦政府の極秘文書の情報という。
この文書によると、Microsoftが昨年7月に「Outlook.com」を発表した際、チャットが暗号化されて傍受できなくなることをNSAが懸念したため、MicrosoftとFBIが協力してNSAにチャットの暗号化を迂回する手段を提供したという。Outlook.comの正式立ち上げより2カ月前の同年12月には、この手段が利用できるようになっていたという。
また、文書には「Hotmail、Windows Live、Outlook.comのメールに関するPRISMのデータ収集については、これらのデータが暗号化される前に収集できるようになっている」と書かれているという。
さらに、MicrosoftとFBIは、PRISMプログラムで個別の許可不要でクラウドストレージサービスSkyDriveにアクセスできるようにしたと文書には書かれているいう。
Microsoftは同日、この報道を受けて声明を発表し、「Microsoftはいかなる政府に対しても、SkyDrive、Outlook.com、SkypeをはじめとするMicrosoft製品への直接アクセスを提供してはいない」と主張した。
PRISMと呼ばれる米連邦政府の極秘情報収集プログラムについては、6月初旬にGuardianと米Washington Postが報じた。このプログラムには、Microsoft、Yahoo!、Google、Facebook、PalTalk、YouTube、Skype、AOL、Appleが参加しているとされているが、Microsoftをはじめとする各社はこれを否定する声明を発表している。
Microsoftは6月、当局から受けた国家安全保障に関連する情報提供要請の件数を発表し、米連邦政府から顧客の通話記録の提供要請などは受けていないと主張した。
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