「はやぶさ」が持ち帰ったイトカワの微粒子、一般公開 顕微鏡で実物を観察できる
小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子の実物が国立科学博物館で常設展示される。緑色に輝く粒子を光学顕微鏡で観察できる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ」が2010年6月に小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子の実物を7月17日から東京・上野の国立科学博物館で一般公開する。
公開されるのは、実際にはやぶさのカプセルから採取されたサンプルの一部で、かんらん石の単結晶で構成された約49μメートルの微粒子だ。世界中の研究者に研究用として配布しているサンプルより若干サイズが小さいだけの「紛れもなく本物」(JAXA)。地球上で発見される隕石では大気や水で摩擦を受けてすり減ってしまう表面部分も残っており、太陽系の歴史をひもとく重要な資料という。
常設展示として設置され、光学顕微鏡(最大320倍)で観察することができる。手元で2段階のズームと回転が可能。電子顕微鏡の画像では茶色味が強く見えるが、展示されているものでは光を反射し、緑色に輝く様子が見られるのが特徴。表面についている小さな粒子も輝きを増す要因という。観察時間は1人1分間で1日400〜500人程度観察できる予定。
神奈川県相模原市立博物館でも、17日から28日までの期間限定で同様の展示を実施する。
日本の宇宙開発に関する展示を担当する同館理工学研究部 鈴木一義さんは「日本の宇宙技術は世界でもトップクラス。特にサンプル採取に関してはここまで成功を収めている国はない。はやぶさの帰還で日本中が沸いたのは記憶に新しいが、世界と戦う技術力を維持し宇宙研究をさらに推進するには多くの人のに関心を持ち続けてもらうことが大事。特に子どもには、本物の微粒子を目にすることで宇宙への夢と興味を抱いてもらえれば」と話している。
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