ジャパン・ブランドの“折り紙付き”を世界へ 「クールジャパン機構」発足、官民合同で海外進出促進
日本企業の海外展開を支援する「クールジャパン機構」(株式会社海外需要開拓支援機構)が本格始動。官民合同で有望な海外事業に投資する。
日本企業の海外展開を資金や経営戦略の面で支援する「クールジャパン機構」(「株式会社海外需要開拓支援機構」)が11月25日、本格的に始動した。「ジャパン・ブランド」の商品やサービスを、官民一体となって売り込んでいく。
同機構の出資金は375億円で、政府と民間企業15社で共同出資。集まった資金で日本企業の有望な海外事業への投資を進め、漫画やアニメなどのコンテンツ、ファッション、地域産品やサービス業に関する商品やノウハウを海外に売り込んでいくという。
都内で行われた発足式で、茂木敏充経済産業相は「日本には世界に誇れるものがたくさんあるが、直接事業に結びついていないものも多い。海外に売り込みたい商品やサービスの市場開拓をサポートし、国全体の産業競争力の強化につなげたい。機構のロゴマークは折り紙を意識したもの。ジャパン・ブランドの“折り紙付き”の商品のよさを広げていければ」と話した。
甘利明経済再生担当相は「私たちにとっては当たり前の毎日の中に海外の消費者の琴線に触れる商品や経験があることも。誰も気付いていない『クールジャパン』の発掘も含めて、官民一体となり総力を上げて支援していく」とプロジェクトの発展に期待を寄せた。
同機構会長にはサンケイビル社長の飯島一暢(いいじま・かずのぶ)氏、社長には、イッセイミヤケの社長や松屋の常務執行役員を歴任してきた太田伸之氏が就任する。
太田社長は、ファッションデザイナーの皆川明さんが手がけるブランド「mina perhonen」(ミナ・ペルホネン)の服に身を包んだモデルと共に登場。「mina perhonenはすぐれたデザインと日本独自の素材や技術力の高さを生かして世界で高く評価されているブランドの一例。情報プラットフォームを整えて日本のよさを売り込み、興味を持ってくれる人や観光で訪れてくれる人を増やすのはもちろん、地方で眠っているよいものや小規模な生産品をダイレクトに世界市場につなげたい」(太田社長)
投資という形で出資を募ってはいるが、目標はあくまで各事業の成功。第1弾の企業やプロジェクトは来年3月には発表するという。「ビジョンがしっかりしていて、他とは違う何かを持っている事業であることが投資の条件。短期的なリターンではなく、日本企業がグローバルで戦っていく土壌を長い目で整えていきたい」(太田社長)
出資企業は以下の通り。
- ANAホールディングス
- エイチ・ツー・オーリテイリング
- 商工組合中央金庫
- 大日本印刷
- 大和証券グループ本社
- 高島屋
- 電通
- 凸版印刷
- 博報堂DYグループ
- パソナグループ
- バンダイナムコホールディングス
- みずほ銀行
- 三井住友信託銀行
- 三越伊勢丹ホールディングス
- LIXILグループ
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