人工知能学会誌、表紙が“萌え”化 「正直、学会誌にふさわしいか悩んだ」 堅いイメージをチェンジ
人工知能学会の学会誌が大幅にリニューアル。表紙は黒髪ポニーテールのお姉さんが掃除をしているイラストになり、従来の堅いイメージの表紙に慣れた関係者に衝撃を与えている。
一般社団法人・人工知能学会の学会誌が、来年1月発行の第29巻1号から大幅にリニューアルする。誌名を「人工知能学会誌」から「人工知能」に変えたことにあわせて表紙を一新。黒髪ポニーテールのお姉さんが掃除をしているイラストが採用され、従来の堅いイメージの表紙に慣れた関係者に衝撃を与えている。
同学会は1986年に発足し、論理学や認知科学などの基礎理論、ナレッジベース、音声対話や自然言語理解──といった人工知能に関連する分野の学際的研究を促進するのが目的だ。学会誌は隔月で発行しており、11月発行号には「パーソナルデータに基づく気付きの創発」といった特集のほか、著名な小説家による「SFショートショート」といったコンテンツも掲載されている。A4版・150ページで2500円。
「正直、学会誌の表紙としてふさわしいのだろうかと悩みました」――同誌編集委員会が25日付けで公開したリニューアル号の巻頭言「学会誌の新しい出発:まだ見ぬフロンティアを目指して」で、誌名と表紙デザインを変えた背景が説明されている。
誌名を変更したのは、人工知能学会をもっと広い範囲の読者にアピールするため。Appleの「Siri」や、プロ棋士とコンピュータ将棋の試合が話題になるなど人工知能への注目が集まる中、社会の多くの人々は学会には興味がなく、「人工知能」という技術や概念に興味がある、と指摘。多くの人に興味を持ってもらうため、学会誌という言葉を外したという。
従来の表紙デザインはテキストを中心に、写真や図面を添えた堅いイメージだったが、新デザインの第29号には女の子のイラストを大きく配置。黒髪ポニーテールにワンピースを着け、背中からケーブルが生えた女性がほうきと本を持っているイラストで、コンセプトは「日常の中にある人工知能」。掃除機が人工知能になっていることを表しているという。
表紙デザインはクラウドソーシングを用いたコンペで選定。3週間の間に100点の案が集まり、理事、編集委員、一般の人からの投票を行って採用案を決めた。採用されたデザインは、編集委員会と一般からは圧倒的な1位、理事からも2位の支持だったという。
ほかにもっと「おとなしい」案はたくさんあり、採用案は「予想していたものよりもずっと大きな変更を伴う」デザインだったため、「正直、学会誌の表紙としてふさわしいのだろうかと悩みました。歴代の会長や現在の会員の方がどう思うだろうかも思い悩みました」と打ち明ける。だが多くの人にアピールすることを考えると「一度は手に取ってみたくなる表紙、ふと目に留めてしまう表紙は重要な要素」とし、非常に「挑戦的な」デザインが選ばれたという。
表紙は毎号変わる予定。今後、より多くの人に読んでもらうために、さまざまな形で学会誌や記事が入手可能になる試みを行っていくという。
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