人工知能学会、新学会誌の表紙問題で見解公表 「女性差別の意図はない」
人工知能学会誌の表紙に人工知能の「擬人化」として掃除をする女性のイラストが採用され、議論になった問題で同学会が「女性差別の意図はない」と見解を公表した。
人工知能学会は1月9日、1月発行の同学会誌表紙に採用された女性のイラストに関して「女性差別ではないか」などネット上で多数の意見や議論があった件に関して、「差別する意図はない」と見解を発表した。
学会誌名を「人工知能学会誌」から「人工知能」に変更したことに合わせ、表紙もリニューアル。黒髪にポニーテールの女性が本を片手にほうきで掃除をするイラストを大きく使用した「予想していたものよりもずっと大きな変更を伴う」デザインとなった。公開後、「ロボットが女性型をしている」「それが掃除をしている」「ケーブルでつながれている」などの要素があいまって、「女性蔑視、女性差別では」という意見が多く寄せられたという。
同学会は公式サイトで「今回の表紙デザインに、女性を差別するような意図はありません」と否定。一方で、「女性が掃除をしているという印象(さらには女性が掃除をすべきだという解釈の余地)を与えたことについては、公共性の高い学術団体としての配慮が行き届かず、深く反省するところ」とした。
担当デザイナーは表紙イラストについて「昭和な感じを出すことを意識」した「擬人化」であり、「日常生活に人工知能が擬人化され溶け込む場面を描いた。このロボットはほうきや本と互換性があり、いままで人間が育んできた文化を置き換えるのではなく、いまの文化や生活を大切にしながら、そこに溶け込んでいく技術であって欲しいという願いを表現している」と説明している。
「人工知能を搭載したロボットが将来、日常生活で使われる際に、その外見はどうあるべきかというのは深い問題」。人工知能は、「知能」という誰もが持ちながらその実よく分かっていない、目に見えないものを研究する学問分野であり、「『見えないものを分かりやすく提示する』ことが最も難しい部分」。表紙について、寄せられた意見を受け止めて改善につなげていきたいとしている。
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