「呆然とした」 クリープハイプ、ベスト盤発売は「レコード会社が一方的に決めた」と声明
「3月に出るアルバムはバンドの意思で出す作品ではありません」――クリープハイプが、自分たちの意思とは無関係にベスト盤が発売されると公式サイトで訴えている。
「3月に出るアルバムはバンドの意思で出す作品ではありません」――4人組ロックバンドのクリープハイプはこのほど、3月12日にビクターエンタテインメントから発売されるベスト盤「クリープハイプ名作選」(税抜き3900円)について、「レコード会社側が一方的に決めたもの」だと訴える声明を公式サイトで発表した。
声明によるとベスト盤は、タイトル、収録曲、アートワーク、発売日、特典すべてをレコード会社が一方的に決め、メンバーにも事務所にも一切連絡がなかったという。メンバーは2月3日、ニュースでCDの発売を知り、4人とも「訳が分からなくて、スタジオで呆然とた」という。
レコード会社は一般的に、契約アーティストの楽曲のマスター音源(原盤)を複製・配信する権利、いわゆる「原盤権」(著作隣接権)を持つことが多く、原盤権は基本的に楽曲自体の著作権とは独立している。原盤権を持つレコード会社が著作者であるアーティストの意思に反してベスト盤CDを出し、トラブルになるケースは過去に何度もあった。
2010年に発売された宇多田ヒカルさんのベスト盤「Utada the best」(ユニバーサルミュージック)は、宇多田さん本人の意思とは無関係に企画されたと本人がTiwtterで打ち明け、ファンに対して「予約を待ってほしい」と訴えた。スピッツのベスト「RECYCLE」は、公式サイトのディスコグラフィーに載せられていない。
クリープハイプはベスト盤発売を知ってから1週間、メンバー同士やスタッフと何度も話し合っが、どうにもならなかったという。「契約にも法律にもレコード会社にも、今まで守られてきた物にこんなに苦しめられるとは思いませんでした」と思いを吐露。「この悔しさも怒りも全部音楽にします」としている。また、「音楽を聴く人を信じるしかありません」「クリープハイプに力をください」とファンに訴えかけている。
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