東大、オンライン無料教育プラットフォーム「edX」に参画 ハーバード・MITとのコラボ講義公開(2/2 ページ)
東京大学が、米国発のオープンソース教育プラットフォーム「edX」への参画を発表。第1弾として、ハーバードやMITとコラボし、日本の戦後史を扱う講義を全世界に無料公開する。
昨年秋に同様の教育プラットフォーム「Coursera」で、村山斉特任教授による「ビッグバンからダークエネルギーまで」、大学院法学政治学研究科の藤原帰一教授による「戦争と平和の条件」の2コースを配信した実績も公開した。両講義合わせて世界から計8万人以上の登録があり、5000人以上が十分な成績で修了。「2カ月で東大の全学生数(約2万8000人)を超える受講者を集め、全留学生(約3000人)を超える修了者を出したことになる」(山内祐平准教授)と報告した。
世界約160カ国からなる受講者の最年少は8歳、最高齢は92歳だった。宇宙物理学を解説する「ビッグバンからダークエネルギーまで」は4分の1以上が米国からだったが、「戦争と平和の条件」では「おそらく、戦争をより切実な問題として身近に捉えている」(山内准教授)アフリカ大陸からの受講が増えるなど、グローバルプラットフォームならではの違いが見られたという。
ユーザーは、知的好奇心の強い30〜40代のビジネスパーソン、今後のキャリアや進路選択の参考にしたいという10〜20代が多かったという。学生同士のディスカッションや掲示板でのコミュニケーションも盛り上がり、最終講義前後には講師への感謝のコメントがあふれた。「とてもいい授業だったので博士の研究に寄付したい」「大学院の進学先として東大を検討したい」など、広報面や海外からの人材獲得面などでも一定の成果をあげたという。
今年は昨年の2コースに加え、大学院情報理工学系研究科の五十嵐健夫教授、大学院経済学研究科の神取道宏教授の2人が新たにコースを設立予定。それぞれコンピューターグラフィックスやゲーム理論について論じる。
吉見副学長は、「大学がこれからの社会でできることを考えていく上でMOOCは非常に大事な取り組みだと考えている。大きな組織や社会を動かすにはひたすらグッドプラクティスを重ねていくしかない。edXでは自分が先陣を切ることになるが、僕には到底及ばない素晴らしい講義や研究をしている先生方がまだまだたくさんいる。『吉見でもできるなら』と思ってもらうことで、数と質の両方を高めていければ」と今後のコース数の拡大に意欲を見せている。
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