変顔やすっぴん、「醜ければ醜いほどいい」──米国ティーンを席巻する“自分撮り”
SNSの普及で定着した“自分撮り”文化。日本ではよりかわいく、より美しく「盛る」イメージがあるが、米国のティーンの間では好んで醜い写真を公開する流行もあるようだ。
“自分撮り”を示す英単語「selfie」(セルフィー)が、英オックスフォード辞典によって2013年を代表する言葉として選出されるなど、ソーシャルメディアの普及により世界中で定着しつつある“自分撮り”文化。アカデミー賞授賞式の最中、豪華俳優陣による集合写真が爆発的に拡散し、RT数の世界記録を更新したことは記憶に新しい。米世論調査機関のPew Research Centerによれば、同国内の91%のティーンエージャーが日常的に自分撮り写真を共有しているという。
SNSのプロフィールに設定するような“キメ顔”だけでなく“変顔”を投稿・共有するサービスも目立つ――と米New York Timesが紹介している。日本で“自撮り”というと、プリクラ文化に端を発する「デカ目」「盛り」を基本とした、よりかわいく、美しく見せようとする行為のイメージがあるが、違った方向からの流行もあるようだ。
自分撮り写真を共有するアプリ「Selfie.im」の通知音は、ユーザー層に合わせ、ティーンにしか聞こえないとされているモスキート音。二重あごやあひる口、すっぴん状態の毛穴のクローズアップなどを撮影したグロテスクな写真がアップロードされている。写真SNS「Instagram」でも、変顔やすっぴん、寝起きの写真の投稿数は多く、#uglyselfie などのタグも盛り上がっている。
変顔をした少女たちのビフォーアフターの写真が集まる「Pretty Girls Making Ugly Faces」というTumblrサイトも人気。概要文には「すべての女の子は“pretty”なので決してビフォーがかわいくなくても大丈夫。ただ、アフターはひどければひどいほどいいです。太字の大フォントで『これはひどい』という言葉を思い浮かべてください」と書かれている。2011年から運営されているこのサイトはユーザーから投稿を募っており、随時アップロードされている。
ミネソタ大の研究によれば、広告や雑誌の美しく修正された写真を1〜3分見るだけで、ティーンの自尊心は損なわれ、劣等感を感じるという。Photoshopをはじめとした高価なソフトはもちろん、スマートフォンアプリでも簡単に美しく修正(あるいは変身)できてしまう時代。醜い写真をあえて公開する彼女たちには「作られた美しさ」への反抗心があるのでは――と同紙は結んでいる。
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