論文画像の不正検出ソフト、東大発ベンチャーが無料公開 「安易な不正防止に」
生命科学論文の使用画像に切り貼りや加工などの不自然な点がないかを検出する「LP-exam」を、東京大学の研究者らが設立したベンチャーLPixelが無料公開した。
生命科学の論文に使用されている画像に切り貼りや加工などの不自然な箇所がないかを検出する「LP-exam」が公開された。東京大学発ベンチャーのLPixelが開発したもので、利用は無料。
Webブラウザ上から解析したい画像を指定すると、独自のアルゴリズムに基づき画像の明暗反転、明るさやコントラストの調整などを行い、9種類の加工画像を出力。画像の不自然な箇所が分かるようになっている。
生命科学分野で使用される画像には、撮影装置の問題や光学的に生じたノイズが含まれるため、データを明瞭にするためにコントラスト調整やノイズ除去を行うことは必要なケースもある。この場合、論文投稿時には処理の内容と、使用した画像処理ソフトの明記が条件になる。同ソフトでは、不当な切り貼りが行われていたり、処理の内容が記載されていない「画像不正」を解析できるという。
今後ソフトの精度向上を進め、不正コピー検出機能や画像種類(MRI、電子顕微鏡写真など)選択機能、不正加工の危険性判定などの新機能も開発中という。現在はオンライン版のみだが、オフライン版ではより高度な解析が可能になる予定としている。
LPixelは、東京大学の生命科学の研究者を中心に3月に設立された、研究用画像処理ソフトの受託開発などを行うベンチャー企業。STAP論文の不正・改ざんが注目を集める中、専門家ならではの知見と技術力を生かして開発したという。同ソフトにより「安易な不正の防止、研究者のモラルの向上、査読審査の効率化が期待できる」としている。
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