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電子書籍に出版権認める改正著作権法が成立
「出版権」の対象を電子書籍にも広げる著作権法の改正案が可決された。出版社やネット事業者自らが著作者の代わりに海賊版対策などに取り組めるようになる。
電子書籍にも「出版権」を認め、著作者と契約を結んだ出版社やネット事業者などが海賊版の差し止めを行えるようにする改正著作権法が4月25日、参議院本会議で可決・成立した。来年1月に施行する。
これまで紙媒体による出版物のみを対象としていた出版権を電子書籍にも適用。著作権者は従来の出版物に加え、CD-ROMなどによる頒布や「記録媒体に記録された著作物の複製物を用いてインターネット送信を行う」者に対し出版権契約を結ぶことができ、ネット事業者が出版権を結ぶことも可能になっている。
契約した出版権者は、CD-ROMなどの記録媒体やインターネット送信で著作物を公開する権利を独占的に持ち、自ら海賊版などの差し止め請求が可能になる。紙と同様、出版権者は著作権者が著作物を引き渡してから6カ月以内に電子出版する義務も定めた。
現行法では、デジタル海賊版による著作権侵害に関しては著作者本人のみが対抗でき、出版社には法的根拠がなかった。日本書籍出版協会は昨年11月、「雑誌を含むできるだけ幅広い出版物に関して実務的に有効な対抗策を自らとれるような改正を強く望む」と声明を発表していた。
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