角川会長「ようやく、川上さんという若い経営者を手にした」 新会社「KADOKAWA・DWANGO」の目指す姿は(2/2 ページ)
「プラットフォームとコンテンツ、双方を提供してきた会社が1つになる」――ドワンゴとKADOKAWAが経営統合を発表。角川会長は「ようやく川上さんという若い経営者を手にした」と、川上会長の経営手腕に大きな期待を寄せている。
両社の統合は、コンテンツを持つKADOKAWAと、プラットフォームを持つドワンゴの融合と報じられがちだが、川上会長は「その理解は違うのでないか」と指摘。KADOKAWAは、書籍や雑誌などのコンテンツと、書店販売網というプラットフォーム両方を持っていると話す。
ドワンゴは「ニコニコ動画」を中心としたプラットフォーム事業者とみられがちだが、ニコニコ超会議やニコニコ生放送のオリジナル番組など、「コンテンツを作ろうとしてきた会社」(川上会長)でもある。「コンテンツとプラットフォーム、両方を提供してきた会社が1つになるのは、非常に相性がいいのではないか」(川上会長)
さらに、「ネット企業は、1つのことに絞る専業がこれまでの趨勢だったが、それが正しいかは疑問だ」とも。PCメーカーが苦境に陥り、OSとハードを統合して提供してきたAppleが勢いを増している現状を指摘し、「専業か垂直統合かは環境や時代の流れによって変わる。これからコンテンツをネットで展開する上では、両方を提供するのがベストのモデルではないか」と述べた。
経営統合、3年前から打診 角川会長から川上会長に
「そろそろどうだろう、一緒になっちまった方がいいんじゃないの」――経営統合は、2011年に両社が資本提携したころ、角川会長から川上会長に打診していたという。ただ当時は、ドワンゴが赤字だったり、KADOKAWAがグループの統合前だったりなど「両社とも問題をかかえていた」(角川会長)ため、この時期での統合になった。
会見で角川会長は川上会長を「天才」と称するなど、その才能に惚れ込んでいる様子だった。新会社での角川会長の役割は、「川上くんの複雑系の発言、理解しにくいことを翻訳し、伝える」こと。「川上くんが新しい仕事をしたいという気持ちも大事にしながら、同時に、新会社の所帯の大きさを認識してもらい、行き先を示す経営者になってくれることを信じている」と大きな期待を寄せる。
川上会長は、「KADOKAWAで相談役という、いったん引いたような役職を名乗っていながら経営の一線から引く気があるのかという(角川会長の)会社と、ジブリでアニメを作っていて、経営を引き受ける気があるのかという(川上会長の)ドワンゴという会社が合わさった時、それを誰がどう運営するのか、両社をよく知る人はいぶかしく思う方が多いだろう。そういう懸念は当たってるんじゃないかなと思います」などとジョークを飛ばし、会場の記者を笑わせていた。
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