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1巻で154Tバイト実現可能な磁気テープ技術、富士フイルムとIBMが開発 量産化も視野
1巻あたり154Tバイトと従来の約62倍のデータが記録可能な大容量磁気テープを富士フイルムとIBMが開発した。
富士フイルムは、米IBMと共同で、世界最高の面記録密度による大容量塗布型磁気テープ技術の実証実験に成功したと発表した。現在最高のLTO 6(2.5Tバイト)の約62倍となる1巻当たり154Tバイトの記録が可能で、既存設備による生産が可能なことから量産化の可能性も視野に入れている。
「バリウムフェライト(BaFe)磁性体」を独自技術により微粒子化することで、塗布型磁気テープとしては世界最高となる85.9Gビット/平方インチを実現。IBMの記録ヘッドやサーボコントロール技術、信号処理技術と組み合わせることで高密度記録・再生が可能になったという。
コンピュータ用磁気テープで主流の塗布型は、ベースフィルムの上に塗布する磁性粒子をより小さくすることで記録容量を増やせる。富士フイルムは、微粒子化しても高い保磁力を持つ「BaFe」を採用し、LTO 6カートリッジなどに採用している。
新技術では、粒子を細かくする際の熱安定性の劣化を抑えたり、均一に分散する技術、薄く均等になめらかに塗布する技術も精度を高め、データの保存性の向上や高品質な再生信号の出力を実現。実験に使ったテープは従来の塗布設備で生産しており、既存設備の応用で生産が可能だとして量産化の可能性を視野に入れ開発を進めていく。
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