Apple、Beatsの30億ドルでの買収を正式発表 ブランドは残す
AppleがうわさされていたBeatsの買収を正式に発表した。買収総額は過去最高の30億ドル。Beatsは独立子会社として存続し、Beats MusicはiTunesのサービスと並行して提供を続ける。創業者のアイヴォン氏とドクター・ドレはApple入りする。
米Appleは5月28日(現地時間)、米音楽企業のBeats Electronicsとその音楽ストリーミングサービスであるBeats Musicを買収することで合意に達したと発表した。買収総額は30億ドルで、取引は第4四半期(10〜12月)に完了する見込み。Appleにとって過去最大の大型買収となる。
Beats Electronicsは2008年にアーティストのドクター・ドレがInterscope Geffen A&M Recordsのジミー・アイヴォン氏とともに立ち上げた音楽企業。高音質、デザインの良さで評判のヘッドフォン、音声技術の「Beats Audio」、サブスクリプション制音楽ストリーミングサービスの「Beats Music」(日本では利用できない)を提供している。Beats Musicのユーザー数は正式な発表はないが約11万人と報じられている。
Beats Electronicsは独立した子会社として存続し、Beats Musicは買収完了後もブランドを残してiTunes Radioなどの他のAppleの音楽サービスと並行して提供していく。ヘッドフォンなどのハードウェアも「b」ブランドで販売していく。Beats Electronicsの製品はこれまでもAppleのオンラインストアで扱っている。
Beatsの創業者であるジミー・アイヴォンCEOとドクター・ドレはApple入りするが、具体的な役職については発表されていない。
Appleのティム・クックCEOは発表文で「すばらしいチームを迎えることで、われわれは世界で最も革新的な音楽製品とサービスを創造し続けることができる」と語った。
アイヴォン氏は「私はいつもBeatsとAppleはなじんでいると思っていた。Beatsの創業はAppleの文化と技術を融合させる比類ない能力にインスパイアされたものだ」と語った。同氏はUniversal Music傘下のレコードレーベルInterscope Geffen A&Mの会長兼CEOの職を退き、AppleとBeatsに専念する。発表文にドクター・ドレの言葉はない。
iTunes Storeを統括するインターネットソフトウェア&サービス担当上級副社長のエディ・キュー氏は「Beatsの参加により、Appleのラインアップは無料ストリーミングサービスのiTunes Radio、有料サブスクリプションサービスのBeats Music、iTunes Storeでの楽曲販売と充実する」と語った。
AppleのBeats買収については8日、米Finantial Timesが最初に報じた。アイヴォン氏とドクター・ドレは、6月2日からサンフランシスコで開催のAppleの年次開発者会議WWDCの基調講演に登壇するとみられている。
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