Adobe「Creative Cloud」の法人導入は「非常に順調」 ログイン障害は「再発防止を徹底」
Adobeがクリエイティブ製品群を定額制サービス「Creative Cloud」に移行すると発表してから1年1カ月。法人向けサービスの担当者は「非常に順調なペースで導入企業が増えている」と話す。
米Adobe Systemsがクリエイティブ製品群を定額制サービス「Creative Cloud」に移行すると発表してから1年1カ月。「Creative Cloudの導入企業は非常に順調なペースで増えている」と話すのは、Adobeで法人向け製品/サービス担当ディレクターを務めるスコット・キャッスル氏だ。
法人向けCreative Cloudは、PhotoshopやIllustrator、InDesign、Dreamweaver、Flash Professional、Edge Animateなどのクリエイティブ製品群を、1ユーザー当たり2180円からの月額料金で利用できるサービス。同社は昨年5月、パッケージ版の「Creative Suite」をバージョン6(CS 6)で終了し、Creative Cloudに移行すると発表している。
キャッスル氏によると、Creative Cloudの法人導入は「非常に順調なペース」で進んでいるという。パッケージ版Creative Suiteの導入企業が「全世界で1万5000〜2万社程度」なのに対し、すでに「2000社ほどがCreative Cloudに移行し、日本でも100社ほどが移行を済ませている」という。
「Creative Cloudに移行する理由は企業によってさまざまだが、最新版の機能を使ってビジネスの競争力を高めたいという声が多い。また、Creative CloudはAdobeのデジタルパブリッシング製品群との連携機能も備えており、Webや紙といった複数のチャネルにクリエイティブを展開したい企業にも採用されている」(Adobeのテリー・レイガン・フォーテスキュー氏)
一方、大企業向けにCreative Cloudを提供する上では課題もあったという。「大企業では、従業員にCreative Cloudのモバイルアプリやデスクトップアプリをどう展開するか、ライセンスをどう管理するか懸念するケースが多い。これに対し、従来の法人向けプランではデスクトップ版アプリしか提供できていなかった」(キャッスル氏)
そこで6月19日のアップデートでは、管理者がユーザー1人1人にWeb経由でライセンスを割り当てる「ユーザー指定ライセンス」方式を新たに導入。ユーザーはモバイル端末を含む複数のデバイスで、特定のアプリケーションをインストールすることなくWebブラウザ経由でCreative Cloudを利用できるようになったという。
24時間アクセス不能問題は「再発防止を徹底」「ベストな対策施した」
Creative Cloudでは今年5月中旬、24時間以上にわたってWeb版サービスにログインできなくなるシステム障害が発生した。キャッスル氏は「インストール版アプリのユーザーに影響はなかったが、Web経由でログインできなかったり、必要なファイルにアクセスできなかったユーザーは確かにいた」と話す。
キャッスル氏によれば、システム障害の原因は「エンジニアリング的な問題」で、「すでに対策を済ませている」という。「システム障害は決してあってはならない問題。今後も再発防止を徹底していく」
「今回の事故についてはわれわれも深刻にとらえ、ベストな対策を施したと考えている。こうして以前よりCreative Cloudのインフラが強化されたのは間違いないが、常に改善は続けていく。われわれも常に学び、ユーザーにさらに信頼されるサービスを提供していきたい」とキャッスル氏は話している。
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