真夏のアイスNo.1の座はどれに!? 購買データ分析で見る「アイス28種“総選挙”」:連載・データサイエンティストの視点(2/2 ページ)
データ分析の専門家・データサイエンティストが身近な話題をテーマに分析結果を紹介していく本企画。第5回は、夏場のコンビニやスーパーを彩るアイスのナンバーワン決定戦について。
ガリガリ君の唯一の隙――それは「冬に弱い」ということです。
ガリガリ君は「氷菓」であり、冬にその名を聞くとやや寒気がするほどです。実際、冬場はランキングを4位まで下げています。本来ならば4位はじゅうぶん上位に当たりますが、今回ガリガリ君はこの季節以外の全ての分野で1位を獲得していることから、これは相当の波乱と言えるでしょう。
そしてその隙を突いて冬場に唯一の1位を獲得したのが「雪見だいふく」です。そのネーミングからも明らかなように、ガリガリ君とは対称的に“冬のスペシャリスト”ぶりを発揮しています。
さらに分析すると、この冬将軍を擁するロッテの“季節戦略”も見えてました。雪見だいふくは夏に19位まで順位を落としている一方、逆に冬の27位から夏に5位までランクアップしているのが「スイカバー」です。この2つのアイスがいずれもロッテのブランドであることから、夏と冬に合わせてそれぞれスペシャリストを投入している戦略がうかがい知れます。
ちなみに、冬の1位(雪見だいふく)と4位(ガリガリ君)の間には、森永乳業の「PARM」「MOW」がきっちりランクインしています。つまり、赤城乳業の誇る絶対王者の氷菓・ガリガリ君を正統派濃厚アイスで追いかける森永乳業、そこに季節のスペシャリスト雪見だいふくとスイカバーをそろえ、氷菓と濃厚アイスを両立するオールラウンダー「爽」を擁するロッテが絡む――という構図が今回の分析から見えてきました。
名作ぞろいで順位の変動が小さく、クールに見えたアイス総選挙。しかし、その裏側にはものすごい戦力の均衡があることが分かります。
ハイレベルなアイス総選挙の裏には「もう1つの戦い」も?
今回のアイス総選挙は楽しんでいただけたでしょうか。
日本には今回の記事で挙げた以外にも、ご当地アイスをはじめとする多数のおいしいアイスがあります。また売れ筋とは関係なく、きっと皆さんが子どものころから親しんできた“ソウルアイス”もあるでしょう。ますます暑くなってくるこの季節、思い出に浸りながらアイスで涼をとってみてはいかがでしょうか。
さて、今回の記事はここまでで終了ですが、分析の過程でもう1つ面白いデータを発見しました。ヒントは「雪見だいふく」です。続きはBusiness Media 誠のインタビュー記事で話していますので、そちらもぜひご覧ください!
調査概要
- 調査対象期間:2013年4月1日〜2014年3月31日
- 調査対象地域:全国
- 調査対象:家計簿アプリReceReco(レシレコ)登録レシート
- 調査対象レシート数:27万5631
- データ分析:岩橋孝典(データサイエンティスト)、古谷野良太(データサイエンティスト)、原真一郎(データサイエンティスト)
筆者紹介
平野健児
1980年京都府生まれ。神戸大学文学部卒業後、サイバーエージェントを経てWeb関連の新規事業支援で独立。WebサイトM&Aの「サイトストック」など多数の新規事業を立ち上げる。現在はブレインパッドにて無料家計簿アプリ「ReceReco」(レシレコ)の立ち上げ、運営を手掛ける。
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