Facebookの無断実験についてプライバシー擁護団体がFTCに申し立て
Facebookが実施した情動感染実験は同社のFTCとの和解条件に反するとして、プライバシー擁護団体のEPICが同社をFTCに提訴した。
米Facebookが2012年初頭に約70万人のユーザーをインフォームドコンセントなしに実験対象にしたことについて、プライバシー擁護団体の電子プライバシー情報センター(EPIC)は7月3日(現地時間)、米連邦取引委員会(FTC)に提訴したと発表した。
この実験は、対象となったユーザーのニュースフィードに表示するコンテンツをアルゴリズムで操作し、その結果がユーザー自身の投稿にどのような影響を及ぼすかを調査するというものだった。
EPICは、実験が実施された段階ではFacebookの「データの使用に関するポリシー」に調査目的でのユーザーデータの使用については明記されていなかった(その後追加された)こと、個人データを無断で社外の第三者(この実験はFacebookの研究者とコーネル大学、カリフォルニア大学の研究者が共同で行った)と共有したことを指摘。この2点はFacebookが2012年にプライバシー保護問題でFTCと和解した際に合意した条件に違反していると主張する。
FTCは2012年の和解の際、プライバシー設定の範囲を超えて情報を共有する場合は、消費者にはっきりと通知して承諾を得ることをFacebookに義務付けている。
EPICはFTCに対し、すべてのユーザーのためにニュースフィードのアルゴリズムを公表することも含めた制裁を下すよう求めた。
FacebookはEPICによる提訴について米USA Todayをはじめとするメディアに対し、次のような声明を送った。「ユーザーはFacebookにサインアップする際、サービス改善目的でFacebookがユーザー情報を利用することを承認している。われわれがユーザーの承認なしに調査を行ったという指摘は完全に事実に反する。自社のサービスをより良くしたい企業はみな、ユーザーの情報を活用するものだ。プライバシーポリシーで「調査」という言葉を使っていようがいまいが、だ」
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