フジ「とくダネ!」の不妊治療報道、取材先の医院が抗議 「事実と異なるなど重大な問題」
「事実と異なる点や説明不足など重大な問題があった」――フジテレビの情報番組「とくダネ!」の7月14日の放送で取り上げられた不妊治療院が、フジテレビに抗議を申し入れた。
「事実と異なる点や説明不足など重大な問題があった」――フジテレビの情報番組「とくダネ!」の7月14日の放送で取り上げられた不妊治療院・リプロダクションクリニック大阪が、フジテレビに抗議を申し入れたことを公式サイトで明らかにした。石川智基・同院CEO(男性不妊専門医)がブログで具体的な問題点を指摘し、取材不足を批判している。
番組では、ネットで申し込んで郵送で検査する精液検査会社を紹介した上で、同院の不妊治療を受けているカップルに取材し、治療の様子を紹介していた。
放送後、郵送による精液検査を同院で行っていると誤解した視聴者から多くの問い合わせを受けたという。石川CEOは「当院では郵送での精液検査を行っていない」と説明。検査会社と同院は「全く関係ない」という。
そもそも、時間が経つと精子の形態が変わり、精子の有無しか分からないため「郵送の精液検査は絶対ありえない」という。検査会社は精子の郵送を受けた後、冷蔵保存していたが、精子の保存は「32〜34度がベストで、冷蔵するのはダメ。さらに郵送は常温で郵送後に冷蔵などもっての他」としている。
検査費用は格安だが、「一般的な精液検査とあまりにレベルが違いすぎるものに対して払うという感覚が必要」と注意を呼び掛け、「視聴者には同列の精液検査での比較ととらえられてしまいます。ありえません」「専門医からすると、営利主義の絶対にやってはいけない行為」と批判する。
郵送による精液検査を取材したコーナー前半は、「あまりに取材が不足していると言わざるを得」ず、「抗議対象になり得る内容」と批判している。
また、「男性不妊治療医が45人しかいない」と報じられたが、これも「ありえません」。認定されている専門医が45人だという。
後半で紹介された同院の治療についても複数の誤りを指摘。精子死滅症の精液検査の映像が不適切だったほか、精巣から精子を取り出す治療「TESE」の妊娠率の表現や、治療中の解説ナレーションにも誤りがあったという。さらに、不妊治療を受けたカップルの受精卵の5日目の様子として紹介された画像は、5日目の写真ではなかったという。
石川CEOは「私自身全く監修にかかわっておらず、内容に関して心配しておりましたが、重大な相違点がありました。誤解から当院に問い合わせが多く寄せられていますが、ご勘弁ください」としている。
関連記事
- “産地偽装”は「言われなき中傷」 2chまとめサイトなどにJAグループ熊本が強く抗議
テレビ番組の映像をもとに、2chまとめサイトなどに“産地偽装”という「言われなき中傷」を受けたJAグループ熊本が強く抗議。 - 東海テレビ「怪しいお米」放送、岩手県が「誹謗中傷」と強く抗議
東海テレビが岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米 セシウムさん」と放送した問題で、同県の公式Twitterアカウントは「本県産米を誹謗中傷する静止画が23秒間放送されました」と強く抗議する意向を明らかに。 - 全スポンサーがCM見合わせ ドラマ「明日、ママがいない」 異例の事態に
ドラマ「明日、ママがいない」が児童養護施設の団体などから批判されている問題で、スポンサー8社全てがCMを見合わせることが分かった。CMが全てACジャパンの公共CMに差し替えられる異例の事態になる。 - TBS「アッコにおまかせ」の初音ミク特集に批判相次ぐ
TBS系「アッコにおまかせ」で「初音ミク」を紹介した特集にネット上で批判が相次いでいる。「ソフト自体とは無関係な『オタク』をおもしろおかしく取り上げるテレビの印象操作にはうんざり」といった声が多い。 - ファミリー番組の出演者衣装に性的な単語 テレビ神奈川が謝罪 出演者「知識なかった」
ファミリー向け番組で出演者の衣装に性的な内容の英単語が表示されていたとして、テレビ神奈川が謝罪。 - 日清食品、「ラ王」CM撮影トラブルを謝罪、放映自粛 ネットで特定、批判
「日清ラ王」のCM撮影時に迷惑をかけたとして日清食品が謝罪。新聞投書をきっかけに、掲示板サイトなどで同社への批判の声が相次いでいた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.