STAP現象「再現できていない」 理研の検証実験難航 小保方氏は「予備実験中」
理研が「STAP細胞」再現実験の中間報告を行った。STAP現象の再現は今のところ確認できていないという。
理化学研究所は8月27日、「STAP現象」再現実験の中間報告を発表した。撤回した論文の手順通りに細胞を弱塩酸で刺激して万能性を得ようとしたが、再現は難航しているという。また、小保方晴子氏単独の再現実験はまだ予備実験の段階で、本格的な実験は始まっていないという。
理研CDBの丹羽仁史プロジェクトリーダーによると、理研は特定の系統(C57BL/6)のマウスの脾臓細胞を、撤回した論文のプロトコルに従って弱塩酸で刺激して培養し、万能性の証拠となる緑色の蛍光があるか確認する実験を22回行ったという。
その結果、緑色の蛍光はみられたものの、細胞が死滅するときの「自家蛍光」の可能性が高く、万能性の証拠とは言い切れなかったという。「C57BL/6の脾臓からSTAP細胞はできないことが分かった」と丹羽氏は話し、STAP現象の再現は「手ごわい」と吐露する。
実験結果はマウスの遺伝的背景によって左右されるとみており、理研は今後、「F1」「129」などほかの系統のマウスでも再現実験を行う計画。脾臓だけでなく、肝臓や心臓の細胞でも試すほか、酸による刺激だけでなく、細い管を通す方法などさまざまな方法を試し、STAP現象の有無を検証する。
小保方氏は7月から、理研の実験とは別に、単独の予備実験をスタートしている。検証実験を統括する理研CDBの相澤慎一特別顧問によると、予備実験は「第三者の立ち会いのもとで行われた実験ではなく、あくまでコンディショニング」であるため、実験結果は公表できないという。本格的な実験は、「早急に始められる準備ができている」(相澤氏)としている。
これまでの検証実験では、予算1300万円のうち700万円を使ったという。小保方氏の実験は11月末、理研の再現実験は来年3月末で終了する予定。笹井芳樹副センター長が死去した影響で検証実験が長引くことも懸念されていたが、予定に変更はないという。11月末には再び中間報告を行う計画で、小保方氏の報告会見への参加も検討するとしている。
相澤氏は「理研が再現実験を行うことに疑義が持たれていることや、検証する意味はないという意見も十分認識している。小保方氏の参加についての疑義も承知しているが、小保方氏の参加を得て、最終的な決着を付ける道を選んだ。問題の全貌解明にも検証実験は必須と考えている」と、実験への理解を求めた。
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