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「VOCALOID4」が得た表現力、使いやすさとは──発表会を振り返る(3/5 ページ)

3年ぶりの新バージョン「VOCALOID4」はその表現力の豊かさと、ボカロPが使った場合の操作性が大きく変化。各社のデータベースのVOCALOID4も進みそうだ。発表会を振り返りながら詳しく見ていこう。

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一番早く手に入るVOCALOID4対応データベース「VY1V4」

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 ヤマハからは女声「VY1V4」が、Normal/Soft/Power/Naturalの4種類の声色ライブラリを備えてリリースされる。これが一番早く手に入るフル機能対応のVOCALOID4ライブラリだ。クロスシンセシス、グロウルともに使える。なお、Tiny VOCALOID Editorは付属しないため、VOCALOID4 Editorかボカキューが必要となる。

 ヤマハの男声ライブラリである「VY2V3」はVOCALOID4対応は未定だが、ファルセットと標準の2つのライブラリを持つため、クロスシンセシスの利用は可能だ。


巡音ルカは「V3(仮称)」から「V4X」に

 発表会にゲストとして参加したクリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉さんは、開発中の巡音ルカV3(仮)が「巡音ルカV4X」となったことをその場で発表。これまで伏せていた、VOCALOID4に依存する新機能も明らかにした。

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ルカの声を担当している浅川さん

 ライブラリは日本語はHARD/SOFT、英語がSTRAIGHT/SOFTのそれぞれ2種類。

 特に英語は発音の良さにこだわったSTRAIGHTと、それをやわらかくしたSOFT、それぞれのライブラリ間でクロスシンセシスを利用できるほか、グロウルによるパワフルな歌唱を入れ込むことも可能となるため、当面は機能をフルに使える唯一の英語VOCALOID4ライブラリとして君臨できそうだ。

 2つのライブラリの間のモーフィングだけではなく、さらに細かい表情を、クリプトンの独自機能である「E.V.E.C.」(イーベック)の中の「Voice Color」で追加している。これは日本語の音素毎にたくさんの表情の中から選ぶことができる機能で、VOCALOID3のときの10倍以上の収録回数を重ねたという成果が生かされている。現時点でそのバリエーションはAppendの6〜7種類を超える予定だ。

 ルカの声を引き続き担当している声優の浅川悠さんは、「深みのないセクシーさ、セクシーなんだけどかわいく、といったことをオーダーされ、役者、声優としての引き出しを試された」と振り返る。

 佐々木さんによれば、Voice Colorは一見Appendと似ているようだがかなり異なるそうで、VOCALOIDを「もっとサンプラーとして使うニーズがあるのではないか」という佐々木さんの判断が背景にある。浅川さんとのやりとりで生まれたセッションはこうした新たな表情付けに生かされているという。ルカ以外のVOCALOID4対応については、「うちは6人いるんで……。ミクにはどういった表情がE.V.E.C.で追加されたらいいかとか、グロウルだったらパワー系のMEIKOとかKAITOか、とか」などとまだ固まっていないようだ。

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佐々木さんと浅川さん

 巡音ルカV4Xの発売は2015年2月下旬を予定。価格は1万7280円(税込)。同梱の音楽制作ソフト「Studio One」以外にも組み込んで使えるVOCALOID編集ソフト「Piapro Studio」が付属する。

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