ドワンゴと日本将棋連盟は11月26日、来春に開催する「将棋電王戦FINAL」の対戦カードを発表した。大みそかには前回電王戦に出場した森下卓九段とツツカナによる「リベンジマッチ」も行われる。
ニコファーレ(東京・六本木)ですでに発表されていたプロ棋士5人と、コンピュータソフト同士による「第2回将棋電王トーナメント」で勝ち抜いた5ソフトが出場。対戦カードと日程は以下の通りで、全対局をニコニコ生放送で中継する。
- 3月14日(土)斎藤慎太郎五段 VS. Apery
- 3月21日(土)永瀬拓矢六段 VS. Selene
- 3月28日(土)稲葉陽七段 VS. やねうら王
- 4月4日(土)村山慈明七段 VS. ponanza
- 4月11日(土)阿久津主税八段 VS. AWAKE
先手・後手を決める振り駒は、前回の安倍晋三首相に続き、1997年に米IBMのチェスソフト「ディープブルー」と“人類代表”として対戦した元チェス世界王者のガルリ・カスパロフ氏が務め、第1局はじめ奇数局の先手番がプロ棋士側に決まった。
対局会場などの詳細は今後発表していく。今春行われた「第3回将棋電王戦」は両国国技館、あべのハルカス、小田原城など普段対局を行わない場所を舞台としており、今回も「まだ言えないが楽しみにしていてほしい」(ドワンゴ川上量生会長)とのこと。
継ぎ盤あり、秒読み10分――“森下ルール”でリベンジマッチ
合わせて、前回電王戦に出場した森下卓九段が対戦ソフト「ツツカナ」とのリベンジマッチを12月31日に行うことが決定。開催後の会見で「人間の弱みはどうしても脳が疲れてしまうこと。実力はまだ人間側が上回っており、継ぎ盤で手を確認しながら簡単なミスを見落とさないようにすれば、コンピュータ相手でも十分勝てる」と持論を展開したことから、持ち時間3時間、秒読み10分、継ぎ盤ありの“森下ルール”を適応した対局を行うこととなった。
森下九段は「あくまで理論として申し上げたことが現実になるとは……」と苦笑い。「継ぎ盤を使った対局は前代未聞で棋士の頭の中を見せられる貴重なチャンス。視聴者のみなさんにも楽しんでもらいたい」と意気込む。
川上会長は「ファンのみなさんが見たい対局をすべて実現するのが電王戦のコンセプト。こういう方法をとってもコンピュータのミスのなさとは当然差があるので、個人的にはハードウェアだけ見るとまだフェアな状況ではないと思う。もしよい結果にならなかったとしても“新森下ルール”が出てくることを期待したい」と話す。
「KADOKAWA・DWANGO」の誕生を期に、KADOKAWAの角川歴彦会長が電王戦エグゼクティブプロデューサーに就任。幼少期に奨励会に所属し、日本将棋連盟の米長邦雄前会長とも対局した“ガチの将棋ファン”の角川会長は「ずっと将棋の発展のために何かしたいと思い続けてきたが70歳を過ぎてこんなご縁があるとは。貴重な1局1局をしっかり見届けたい」とコメントしている。
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