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「はやぶさ2」は「たいへん順調」 初代の経験生きイオンエンジン万全 「やったな!という感覚」と國中氏(2/3 ページ)

「はやぶさ2」の打ち上げから2カ月。初期運用は「たいへん順調」という。初代「はやぶさ」の経験を生かして開発されたイオンエンジンも万全な状態だが、心配もあるという。

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イオンエンジンの24時間自律運転を達成した瞬間の管制室

 12月にまず1基ずつ稼働確認し、4基とも正常に推力が発生していることを確認。その後1月にメインを2基ずつ組み合わせて24時間自律的に制御させる試験と、メイン3基を組み合わせて自律的に制御させる試験に成功した。「高性能なイオンエンジンをやっと、4台まとめて宇宙で実現できた」。

 初代のイオンエンジンが初期の段階で1基使えなくなった理由は、探査機が排出したガスを枯らす「ベーキング」という作業の知見が不十分だったためという。はやぶさ2ではベーキングを慎重に行うことで、周囲の真空やガスの状態をイオンエンジンの運用に適したものにしたことが、今回の成功につながったとしている。

 「1号(初代)の経験が非常によくいき、万全な状態で、4基を健全なまま軌道変換に投入できた。これから厳しい航海が待っているのは承知しているが、機材は余裕を持って乗り出せたと思っている。やったな! という感覚です」――初代のイオンエンジンの技術者でもあった國中プロジェクとマネージャーは笑顔でこう話す。

 初代で「こんなこともあろうかと」搭載していた、2基のエンジンのイオン源と中和器を電気接続し、新たな一式のイオンエンジンとして動作させるニコイチ機能は、はやぶさ2にも組み込まれているが、「そういった機能は使わないで帰ってくる、とみなさんにお知らせしたい」。

通信も順調 初代の4倍の転送量に

 はやぶさ2は、日本の探査機として初めて「深宇宙Ka帯」によるダウンリンク通信を確立。初代が利用し、はやぶさ2でもメイン回線となる「X帯」は最大8Kbpsだが、Ka帯なら最大32Kbpsと4倍のデータ転送量が実現できる。「より太いパイプラインでデータを下ろせるのはほぼ確実で、たいへん朗報だ」。ただ日本にはKa帯の受信アンテナがないため、米航空宇宙局(NASA)の深宇宙ネットワーク各局を利用する。

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