「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」、国立新美術館主催で今夏に 89年から25年間を俯瞰
1989年から25年間の漫画、アニメ、ゲーム作品を、社会変化やテクノロジーの発展を踏まえて包括的に展望する展覧会が開催される。
国立新美術館は、1989年から25年間の漫画・アニメ・ゲーム作品と社会とのつながりを展望する同館主催の展覧会「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」を、6月24日〜8月31日、東京・六本木の同館で開く。9月19日〜11月23日には兵庫県立美術館(神戸市)でも開かれる。
作品や作家、特定年次の発表作にターゲットを絞ったものではなく、作品同士の関係性や社会や技術の影響を、ジャンルをまたいで展望するというコンセプト。タイトルに使われている記号は、コンピュータ言語でかけ算を示すアスタリスク(*)だ。
20世紀から21世紀にかけての25年間に焦点を当て、発表された作品を紹介する。2度の震災や同時多発テロ、原発事故などの社会不安や、インターネットの普及を筆頭としたテクノロジーの発展などの社会要因がフィクションやエンターテインメントの世界にどのように影響を与えているかを考察する。
展示構成は全8章だ。
- 第1章:プロローグ 現代のヒーロー&ヒロイン
- 第2章:テクノロジーが描く「リアリティー」――作品世界と視覚表現
- 第3章:ネット社会が生み出したもの
- 第4章:出会う、集まる――「場」としてのゲーム
- 第5章:キャラクターが生きる=「世界」
- 第6章:交差する「日常」と「非日常」
- 第7章:現実とのリンク
- 第8章:エピローグ 作り手の「手業」
第2章では、仮想現実や拡張現実、ロボットなど作品の世界観の中でのテクノロジーと、3DCGなど制作技法としてのテクノロジーの双方を取り上げ「リアリティー」を考える。第3章では、ネット社会を背景として広がった情報共有やコミュニケーションの形として、個人/同人制作、二次創作にもスポットを当てる。
友情や正義をテーマにした「王道」作品から、映像技術の発展に後押しされ人気が高まっているアイドルもの、プレイすること自体が1つのパフォーマンスとなる音楽ゲーム、「学校」「恋愛」「スポーツ」など社会との接点を持った作品などを取り上げる。
開催に先駆け、公式書籍「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」(仮)を5月上旬に発売予定。中野晴行さん、氷川竜介さん、さやわかさんが各ジャンルの歩みを解説し、展示作品の解説、ジャンルを横断した年表などを掲載する。価格は2500円(税別)。
国内2館での展示後、海外巡回先としてアジアやヨーロッパ、アメリカなどを検討中という。南雄介副館長は「世界的に見てもメディア表現の3つのジャンルを横断しながらある程度の期間を俯瞰した展覧会はないのでは。海外からも人気や注目も高い分野であり、“第2のジャポニスム ”として改めてメディア芸術としての価値を示したい」と企画意図を話している。
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