シャープが液晶パネルに使う「IGZO」の商標登録を特許庁が無効としたことを不服とし、同社が無効の取り消しを求めた訴訟で、知財高裁(設楽隆一裁判長)は2月25日、シャープの請求を認めず、商標を無効とする判決を言い渡した。
シャープが持つIGZO関連商標=ニュースリリースより。無効とされたのはアルファベットによる「IGZO」(携帯用電子ゲーム機を除く)で、「イグゾー」や独自マーク付き「IGZO」は訴訟と関係なく使用できるとしている
IGZOはインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)で構成する酸化物半導体の略称で、同社が初めて量産に成功した。特許は科学技術振興機構(JST)が管理しており、シャープはライセンス契約を受けて生産している。
同社は2011年6月に「IGZO」の商標を出願し、同年11月に登録された。だが13年7月、JSTが「商標法は原材料名を商標として登録できないと定めており、IGZOという名称を研究者が自由に使えなくなる」などとして商標の無効を申し立て、14年3月に特許庁は同商標が無効との判断(審決)を出した。
同社はこれを不服とし、同年4月に審決取り消しを求めて知財高裁に提訴していた。
判決が確定した場合、アルファベットによる「IGZO」名称を液晶パネルなどに同社が独占的に使うことはできなくなる。ただ、同社はカタカナの「イグゾー」や、「IGZO」に独自のマークを付けた商標も登録しており、これらは今回の訴訟に関係なく引き続き商標として使えるとしている。判決については「精査した上で、最高裁への上告などを含め適切に対処する」としている。
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